ずいまくしゅ
髄膜腫
脳腫瘍の中で最も多い、良性の脳腫瘍。脳を包んでいる膜(髄膜)からできる。
13人の医師がチェック 124回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 髄膜腫のQ&A

    髄膜腫の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    髄膜腫の原因や、どのようなものが大きくなって、症状を出すようになるかは分かっていません。ただ、髄膜腫のなかには、女性ホルモンの影響を受けるものがあり、女性の場合、閉経とともに髄膜腫の増大が止まる方もいます。

    髄膜腫は、どんな症状で発症するのですか?

    髄膜腫は脳腫瘍に分類されますが、脳自体から発生するものでありません。脳と頭蓋骨の間には硬膜という厚めの膜があり、髄膜腫はこの硬膜から発生します。なので、特殊なものを除き、多くの髄膜腫は脳ではなくその外側にできることになります。

    髄膜腫が大きくなると、やがて脳を圧迫し始めます。圧迫された脳の部分は、正常に機能できなくなり、圧迫された部分が担っていた機能にまつわる症状が現れます。

    手足の運動をつかさどる部分であれば麻痺が生じ、言語中枢に近い部分であれば、言語の障害が生じます。また前頭葉などの「判断」や「認知」に関わる部分が圧迫されると、認知症のような症状で発症する場合もあります。

    腫瘍がかなり大きくなると、脳全体の機能障害が進み、意識障害を来すことがあります。

    髄膜腫は、どのように診断するのですか?

    多くの髄膜腫は頭部MRIで分かります。T2強調画像と呼ばれる撮影方法で撮ると、内部に血管が筋状に見えることがあります。また、造影剤を用いると、硬膜に付いている部分の周りが濃く造影され、髄膜炎の診断がよりつけやすくなります。

    頭部CTでも、脳を外から圧迫する特徴的な見え方をします。しばしば内部に、石灰化といって骨のような白色に見える部分がある場合があります。

    髄膜腫の治療法について教えて下さい。

    髄膜腫は原則的に良性腫瘍であり、大きさによっては、必ずしも治療を行わずに経過を見るだけに留まる場合があります。

    一方で、髄膜腫による麻痺などの症状が出ている場合には、それを改善させるために治療が必要です。基本的には手術治療が行われますが、特に海綿静脈洞という神経が複雑に腫瘍にからみついている可能性が高い部分や、血管に食い込んでいて全摘が困難な部分に関してはガンマナイフなどの放射線治療を行う場合があります。

    また髄膜腫に対する治療薬としては、現時点で有効なものは残念ながらありません。

    髄膜腫が発症しやすくなる、または髄膜腫の人が他に注意すべき病気はありますか?

    子宮筋腫のある方では、髄膜腫が発生する割合が高いという報告があります。

    また放射線治療のあと、照射された場所の近くに髄膜腫が発生することが稀にあります。

    髄膜腫の、その他の症状について教えて下さい。

    髄膜腫が神経細胞を刺激することで、気を失ったり手足をばたつかせたりする、けいれん発作の原因となることがあります。

    髄膜腫の、その他の検査について教えて下さい。

    脳血管撮影というカテーテルを用いた検査を行うと、腫瘍の周囲にある血管の様子が分かります。髄膜腫の診断をつけるための検査というよりも、手術をする上で、どのように摘出を行うかを検討するための判断材料として行われることが多いです。

    髄膜腫は、遺伝する病気ですか?

    一般的に遺伝性はない病気です。

    例外として、Cawden病や神経線維腫症2型といった遺伝性の病気がありますが、これらの病気では髄膜腫が発生しやすくなります。したがって、結果的に髄膜腫が遺伝したように見えることもありますが、髄膜腫の大半は、遺伝と関係なく発生するものです。

    髄膜腫と診断が紛らわしい病気はありますか?

    頭蓋骨の中にでき、脳の外から発育する腫瘍を見分ける必要があります。

    具体的には、血管周囲腫、骨腫瘍、神経鞘腫の一部や、転移性脳腫瘍も紛らわしい見え方をすることがあります。

    髄膜腫では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    髄膜腫の手術では入院が必要です。手術で麻痺などの合併症が生じなければ、概ね10日から2週間の入院が一般的と考えられます。

    手術で取りきれずに残った腫瘍がある場合には、それが増大してこないか定期的に経過を見ることが勧められます。

    また手術で腫瘍が摘出できた場合でも、再発してくる可能性があり、数年間は定期的な画像検査による経過観察を行う場合が多いです。

    髄膜腫に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    髄膜腫がけいれん発作によって見つかった場合には、抗てんかん薬の内服を勧められる場合があります。術後も内服が必要かどうかはケースバイケースになります。

    髄膜腫は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    手術で全摘出できれば、ほぼ完治といって良い場合が多いです。腫瘍が残っている場合には、定期的に経過をみることが勧められます。

    髄膜腫は、脳の外から脳や神経を圧迫する病気ですので、これらの脳や神経に傷が付いていなければ、いわゆる後遺症は残りません(ただし皮膚の違和感などは別です)。

    また、手術前に症状が出ていて、頭部MRIなどですでに脳自体に変化が起きてしまっている場合には、手術が完璧でも症状が取れないことがあり、後遺症になります。例えば、腫瘍のせいで聴神経が引き延ばされていて、聞こえが悪くなっているような場合には、腫瘍を取り除いても聴力は回復しない可能性が高いです。

    髄膜腫の手術は簡単な手術ですか?

    脳の表面に近いものなどは、簡単に取り除けるものもある一方で、小さくても脳の深部に近い場合には、大がかりでとても難しい手術になることがあります。腫瘍ができる場所、大きさと癒着具合によって大きく手術の難易度が異なります。

    髄膜腫が見つかったら、すぐに治療した方がいいのでしょうか?

    それまで何の症状もなかった髄膜腫が、脳ドックなどで偶然見つかる場合があります。3cmを越えている場合には治療を検討することになっていますが、とくにご高齢の方では、あまり腫瘍が大きくならないことも多いです。症状がなければ、1-3ヶ月後に再度検査するというのが妥当と考えられます。

    実際に症状が出ている場合には、早めに治療を行った方が良い場合がありますが、1日でも早く入院しなければならない、ということは稀と考えられます。

    ごくまれに、髄膜腫の内部に出血を起こして、急に病状が悪くなることがありますが、そのような場合には緊急手術が勧められる場合もあります。

    髄膜腫が手術で「取り切れなかった」、「一部残っている」と言われたが大丈夫でしょうか。

    基本的には良性腫瘍ですので、脳や神経の圧迫が取れていれば、手術の主な目的は果たされていると考えて大丈夫です。また、神経や血管に強く癒着しているような場合には、後遺症を残すリスクを避けるため、意図的に腫瘍の一部を残すこともしばしばあります。

    ただし、術後にゆっくりと大きくなってくるものもありますので、定期的な経過観察が勧められます。大きくなってくる場合にはガンマナイフなどの放射線治療が提案される場合があります。

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