そうびょう
躁病
異常に元気であったり、自信がみなぎったり、人に対して偉そうになったりする病気
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最終更新: 2019.03.05
躁病の基礎知識
POINT 躁病とは
気分が高ぶっている状態が続く病気のことです。気分が変化しやすく、活動性が増えた状態が数日続き、日常生活に支障がでることがあります。詳しい原因はわかってはおらず、脳の活動異常が原因だとされています。頻度は100人に1人程度ですが、甲状腺機能亢進症や神経性食思不振症の症状と似ていることがあるので、区別が必要です。炭酸リチウムやバルプロ酸、抗精神病薬を使って気分を安定させます。完全に症状をなくすということよりは、社会生活において問題が起こらない程度にまで症状を和らげることが重要です。躁病が心配な人は精神科や心療内科を受診してください。
躁病について
躁病の症状
- 主な症状
- 異常に元気がある
- 異常に社交的
- 早口で次から次へと話す(相手は理解できないことが多い)
- やたら怒りっぽい
- その他の症状の例
- 異常に自分に自信がある
- 寝なくても元気
- よくしゃべる
- 次々といろいろな考えが出てきて止まらない
- 気が散ってしまう
- やりたいことをやろうとして、いてもたってもいられなくなる
- ついつい自分の快楽に走ってしまう(衝動買い、無分別な性交、賭け事など)
躁病の検査・診断
- 医師の診察により、「症状」の項目のうち、複数の症状があることで診断される
躁病の治療法
- 主な治療
- 気分安定薬を用いる
- 炭酸リチウム
- バルプロ酸
抗精神病薬
- 気分安定薬を用いる
- 完全に症状を抑えるというより、社会生活において問題が起こらない程度にまで症状を和らげることが大切
躁病に関連する治療薬
気分安定薬(炭酸リチウム)
- 感情の高まりや行動を抑えることで躁病などの改善や抗うつ薬などの作用を補助する薬
- 躁病は気分の高ぶっている躁状態が続き異常に元気であるなどの症状があらわれる
- 炭酸リチウムは中枢神経に作用し感情の高まりや行動を抑え、気分を安定化する作用をあらわす
- 炭酸リチウムは抗うつ薬などの効果を高める作用もあらわす
バルプロ酸ナトリウム製剤
- 脳内のGABA(γ-アミノ酪酸)の神経伝達促進作用などにより、脳内の神経興奮の抑制作用などをあらわし、てんかん、片頭痛、躁病などの改善作用をあらわす薬
- てんかん、片頭痛、躁病などは脳内神経の異常な興奮などによっておこるとされる
- 脳内神経伝達物質のGABAは神経興奮の抑制系物質として脳内で作用する
- 本剤は脳内の神経興奮抑制系の賦活作用などをあらわす
カルバマゼピン製剤
- 脳内神経の過剰な興奮を抑えることで、てんかん、躁状態などを改善する薬
- てんかん、躁病などは脳内神経の異常な興奮などによっておこるとされる
- 脳内で神経細胞への興奮性シグナルとしてナトリウム(Na)イオンなどがある
- 本剤はNaイオンの通り道であるNaチャネルを阻害し、神経細胞の興奮を抑える作用をあらわす
- てんかん、躁病の他、三叉神経痛などの神経性疼痛の改善などで使用する場合もある