いかいよう、じゅうにしちょうかいよう
胃潰瘍、十二指腸潰瘍
胃液によって胃や十二指腸の粘膜がダメージを受けた結果、壁がえぐれてしまった状態
15人の医師がチェック 147回の改訂 最終更新: 2020.10.15

Beta 胃潰瘍、十二指腸潰瘍のQ&A

    胃潰瘍、十二指腸潰瘍とは?

    胃潰瘍、十二指腸潰瘍は胃液が過剰分泌することや粘膜の血流が悪くなることなどによって胃や十二指腸の壁を覆う粘膜が傷ついてしまう病気です。症状が進行すると、胃や十二指腸の壁に穴が空いてしまいます。一般的に予後は良いですが、治療が難渋することもあるため早期に発見し、適切な治療を受けることが大切になります。

    胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状について教えてください

    胃潰瘍と十二指腸潰瘍の主な症状である腹痛以外に以下のような症状が現れます。

    • 腹痛

      • 上腹部や、みぞおち辺りが痛むことが多い
      • お腹を押したときの痛み(圧痛)
      • 鈍い痛み
      • 胃潰瘍では食後に、十二指腸潰瘍では空腹時や夜間に痛むことが多い
    • 吐血(胃液に血液が混じったどす黒い液体を吐く)

    • 下血(血液が混じる黒色便がでる)

    • 貧血症状(胃や十二指腸から出血が見られる場合)

    • 胸やけ、胃もたれ

    • 呑酸(酸っぱいものがこみ上げる)

    • 吐き気や嘔吐

    胃潰瘍、十二指腸潰瘍を疑う場合に以上のような症状が現れることがありますが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が原因の場合は無症状のことが多いため注意が必要です。

    診断には胃カメラやレントゲン検査を受ける必要がありますので、何か気になる点がありましたら医療機関(特に消化器内科)を受診するのがよいでしょう。また、ピロリ菌感染が原因となっていることもあるので、家族にピロリ菌感染の人がいる場合は特に注意が必要です。

    胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因について教えてください

    胃潰瘍、十二指腸潰瘍は、食事の前後にお腹の上の部分(みぞおちのあたり)が痛んだり、吐血(どす黒い血を吐く)や黒色便(黒っぽい便)が症状として現れることがあります。

    一般的に心理的な負担がある際に胃が痛むことがあるため、ストレスが主な原因と考えられがちですが、ピロリ菌や薬などが胃潰瘍および十二指腸潰瘍の原因に関わっていることが分かってきています。

    胃潰瘍、十二指腸潰瘍の主な原因には大きく感染性、薬剤性、生活習慣、胃酸の過剰分泌、二次性、特発性(原因不明)などがあります。

    ◎感染性
    細菌感染とウイルス感染に分かれます。

    • 細菌:ヘリコバクターピロリ、ヘリコバクターハイルマニ、トレポネーマパリダムなど

    • ウイルス:サイトメガロウイルス、単純ヘルペス

    この中でも最も代表的なものはヘリコバクターピロリであり、胃潰瘍の原因の約70%、十二指腸潰瘍の原因の約90%を占めると言われています。

    ◎薬剤性

    • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

    • ビスフォスフォネート

    特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は胃潰瘍の原因になることが多く、2番目に多い頻度となります。非ステロイド性抗炎症薬は、関節リウマチや変形性関節症などの痛みや炎症を抑える目的や解熱目的で使用される薬です。しかし、この薬を飲み続けると、胃酸の分泌が増えたり胃の粘膜の血流が不良になったりすることによって胃炎や胃潰瘍が起きます。

    ◎生活習慣

    • ストレス

    • 食生活

    • 辛いものなど刺激のある食べ物を取り続ける

    • 過剰なアルコール摂取

    • 喫煙

    ◎胃酸の過剰分泌

    胃潰瘍が起きる原因である胃酸の過剰分泌が起きる以下の病気がリスクとなる場合があります。

    • ゾリンジャーエリソン症候群

      • 膵臓と十二指腸の壁にできる腫瘍によって、胃酸が過剰分泌し潰瘍を起こす
      • 治療は手術もしくはプロトンポンプ阻害薬(PPI)を用いる

    ◎二次性

    以下の病気や症状、治療の二次的な影響によって胃潰瘍が起きることがあります。

    • クローン病

    • サルコイドーシス

    • 血管虚血(胃の壁の動脈硬化など)

    • 放射線治療などによる放射線照射

    • 化学療法   など

    このように胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因は多岐にわたります。治療を適切に行うためには、病気の原因を特定することが大切になります。