Beta アトピー性皮膚炎のQ&A
初めは顔や頭に、その後手足(関節の内側など)に広がる
じくじくした赤い腫れ(紅斑)
ぶつぶつと皮膚が盛り上がる(丘疹)
黄色いかさぶたのような湿疹ができる
肘や膝の関節の内側、首などに広がる
あせものような発疹
じくじくした発疹
皮膚が厚く硬くなってしまい、ごわごわする(苔癬化)
合併症:とびひ、水イボなど
頭部、髪の生え際、首など特に上半身に広がる
手足の外側にごつごつしたしこり(痒疹)
顔の赤み
ぶつぶつと皮膚が盛り上がる(丘疹)
じくじくと皮膚がただれる(びらん)
首などに色素沈着(茶色っぽいシミ)がおこる
合併症:単純ヘルペス感染症、白内障、網膜剥離など
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)など
温清飲(うんせいいん)
小柴胡湯(しょうさいことう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
治頭瘡一方(じずそういっぽう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)
消風散(しょうふうさん)
柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)など
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
温清飲(うんせいいん)
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
消風散(しょうふうさん)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
抑肝散(よくかんさん)
加味逍遙散(かみしょうようさん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)など
子どものアトピー性皮膚炎の症状は年齢によって異なりますか
アトピー性皮膚炎は、赤ちゃんの頃に発症し、多くの場合は学童期までに治っていきます。しかし、年齢を重ねても治らない場合や一度治っても成人してから再発することもあります。
アトピー性皮膚炎になると、皮膚のバリア機能が弱くなり、掻いたひっかき傷から細菌やウイルスに感染しやすいので、他の病気を合併することもあります。また、かゆみのために顔を強く叩いたりこすったりすると、眼の病気になることもあります。
アトピー性皮膚炎は以下のように、年齢によって症状の特徴が変化します。
◎乳児期(1歳未満)
じくじくとした湿潤性病変となることが多く、この時期はスキンケアのみで治る他の病気の場合もあるので、症状が2ヶ月以上続いた場合にアトピー性皮膚炎の可能性が出てきます。
◎幼児、小児期(1〜15歳)
かさかさとした乾燥した皮膚になってきます。
◎学童思春期(16歳〜)
皮膚が乾燥し、搔き壊しによって皮膚が厚く硬くなったり、色素沈着がおこります。
アトピー性皮膚炎に対する漢方薬にはどんなものがありますか?
アトピー性皮膚炎の治療には様々な薬が用いられますが漢方薬を用いることもあります。漢方医学では、アトピー性皮膚炎を免疫バランスが乱れていると考え、免疫バランスを調整する作用がある漢方薬を使用することによって症状の改善を図ります。
近年では、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)や小柴胡湯(しょうさいことう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が免疫調整に働くことが示されており、漢方薬の科学的な効果がだんだんと明らかになっています。
漢方薬治療は、年齢に応じて適した薬を使用されます。以下がその例になります。
◎乳児に処方される漢方薬
◎幼小児期に処方される漢方薬
◎成人に処方される漢方薬
顔にアトピーの発疹が生じた場合は黄連解毒湯や白虎加人参湯で改善できることがあると言われています。
アトピー性皮膚炎の免疫のバランスが乱れている原因は人それぞれですので、その人の免疫バランスを崩す原因(生活習慣など)を調べることも大切です。また漢方では「この病気にはこの薬」と自動的に決まるわけではなく、上記のような中からその人の体調や体格を考慮して決めるので、適した薬を使用するためにも担当医や薬剤師に相談して下さい。
アトピー性皮膚炎は大人になったら治るのですか?
統計によって多少のばらつきはありますが、小児では15%程度、成人では3%程度の人がアトピー性皮膚炎にかかっていると言われています。つまり小児から成人になる過程で、多くの場合は治癒します。ところが中には大人になっても治らない人がいたり、また大人になってから発症する人もいます。
アトピー性皮膚炎の基本的な治療は何ですか?
カサカサした皮膚には保湿剤で予防を行い、赤くなってガサガサが強くなった皮膚はステロイドのぬり薬で治療をするのが基本です。新生児に保湿剤を使ったところ湿疹(アトピー性皮膚炎)の予防ができたというデータがありますので、ステロイドのぬり薬で治療を行うだけでなく、保湿剤で皮膚の乾燥を防ぐことが大切です。
アトピー性皮膚炎と湿疹の違いは何ですか?
まず湿疹とは、皮膚の表面がガサガサし、赤く炎症を起こし、強いかゆみがある皮膚の状態です。湿疹と皮膚炎は医学的に同じ意味です。色んな皮膚炎(湿疹)が存在しますが、慢性的に(定義では小児で2ヶ月、成人で6ヶ月以上)、左右対称に広範囲に、典型的な部位に(顔、首、肘や膝の裏など)湿疹がある場合にアトピー性皮膚炎と呼びます。
アトピー性皮膚炎に対して、ステロイド以外の治療は何がありますか?
「プロトピック」というぬり薬が使われています。弱〜中等度の強さのステロイドと同じ効果があり、2歳以上の小児、大人で使うことができます。ステロイドと同じように赤くなった炎症を抑える効果がありますが、皮膚が薄くなる、表面の血管が開いて赤く見える、といったステロイドを長期外用したときの副作用がないのが特徴です。ほかにも重症例ではネオーラルという免疫を抑える飲み薬や紫外線を当てる治療法があります。
アトピー性皮膚炎に対して使うステロイドの副作用が心配ですが、大丈夫なのでしょうか?
骨粗しょう症、高血圧、糖尿病など、ステロイドの副作用と言われているものは、いずれもステロイドを内服した場合に起こることで、ステロイドのぬり薬ではその心配はありません。ステロイドを皮膚に塗っても全身に吸収される量は少ないので、全身の副作用を気にする必要はないです。ぬり薬を数ヶ月以上塗った場合、特に顔など皮膚の薄い部分では、皮膚が薄くなる、皮膚の表面の血管が開いて赤く見える、といった副作用が起こることはあります。ただしこれらの副作用も、塗り薬を適切に使い分けることで防ぐことができます。皮膚が赤くガサガサしている時にはステロイドを、そうではなく皮膚が少しカサカサして乾燥している時には保湿剤を使用してください。
アトピー性皮膚炎は遺伝しますか?
両親のどちらかにアトピー性皮膚炎がある場合にはお子さんがアトピー性皮膚炎になる可能性が上がります。
アトピー性皮膚炎で、顔と体に塗るステロイドは同じ薬を使っていいですか?
ステロイドの吸収量は皮膚の厚さによって異なります。そのため皮膚の薄い顔では弱めのステロイドを、おなかや背中、腕や脚では強めのステロイドを使うのが通常です。症状の強さによってもステロイドの強さは使い分ける必要があるので、細かい判断は医師の処方に従って下さい。
アトピー性皮膚炎に対して強いステロイドのぬり薬を処方されたのですが、使っても心配ないでしょうか?
短期間(2週間以内)であれば、強いステロイドの塗り薬を毎日使っても、副作用が出ることはまず心配する必要はありません。アトピー性皮膚炎の症状が強い場合には、強いステロイドの薬で短期間、しっかりと治療を行うことが肝心です。弱いステロイドのぬり薬で長期間治療して治らずに湿疹がくすぶっている状態を続けるよりも、結果としてトータルで使用するステロイドの量を減らすことができるのです。
アトピー性皮膚炎に対して飲み薬は効きますか?
アトピー性皮膚炎に一番良く処方される飲み薬は「抗ヒスタミン薬」といいます。「ヒスタミン」というかゆみの原因になる物質の作用を抑えることができますが、アトピー性皮膚炎には限定的な効果しかないことがほとんどです。飲み薬は補助的に使う分には問題無いですが、治療の基本は保湿剤とステロイドのぬり薬になりますので、しっかりと毎日塗り薬でケアしてあげましょう。
アトピー性皮膚炎に対して漢方薬は効きますか?
効果があるという報告例は出ていますが、ステロイドの塗り薬やプロトピックほど効果が証明されているものではありません。まずはこれらの塗り薬でしっかりと治療を行うことが大切です。医師の指導のもと漢方薬を併用することについては、個々の医師の判断に従って下さい。
アトピー性皮膚炎の治療で薬を塗る以外に大切なことはありますか?
お風呂では石鹸とタオルでこすり過ぎないようにしましょう。症状が強いところは石鹸を泡立てて、優しく手で洗って上げるとよいです。また温かい湯船につかると体が温まり、痒くなってしまいます。その時に体を掻かないようにして下さい。それが難しい場合にはシャワーを浴びるだけにするか、お湯の温度を少し下げてぬるま湯につかるといいでしょう。
アトピー性皮膚炎と診断が紛らわしい病気は何がありますか?
接触性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、単純性痒疹、汗疹、魚鱗癬、皮脂欠乏性湿疹、その他アトピー性皮膚炎によらない湿疹、乾癬、皮膚リンパ腫などがあります。