たんどうがん
胆道がん
胆道に発生する悪性腫瘍(胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)の総称
6人の医師がチェック 167回の改訂 最終更新: 2022.10.17

胆道がんの基礎知識

POINT 胆道がんとは

胆道がんは肝臓で出来た胆汁が流れる道(胆道)に起こるがんです。胆道がんは発生する場所によって「胆管がん(肝門部胆管がん、遠位胆管がん)」、「胆のうがん」、「乳頭部がん」に分けられます。がんが進行するまでは特に症状が出ないことが多いですが、進行した場合は黄疸(皮膚や目が黄色くなる変化)・発熱・右上腹部の違和感や痛み・食欲低下・体重減少などを起こします。 症状や身体診察に加えて、血液検査・画像検査(超音波検査、CT検査、MRI検査)・内視鏡検査(超音波内視鏡、ERCP)を用いて診断します。治療法には手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療がありますが、がんの進行度や全身の状況を鑑みて最適な治療法を選択します。胆道がんが心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。

胆道がんについて

  • 胆道に発生する悪性腫瘍胆管がん、乳頭部がん胆のうがん)の総称
  • 胆管がんの特徴
    • 60歳代以上の高齢者に多い
    • 肝障害や黄疸症状をきっかけとして発見されることが多い
  • 胆のうがん
    • 60歳代以上の高齢者に多い
    • 進行がんとして発見されることが多いが、胆のうポリープを切除した際に偶発的に診断されることもある
  • 乳頭部がん
    • 胆管の出口である十二指腸乳頭部にできる
    • 胆管がん胆のうがんと比べると生存率は良好と言われているが個人差がある
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胆道がんの症状

  • 胆管がんの場合に起こる症状
    • 黄疸:皮膚や眼球が黄色くなる
    • 尿の色が濃くなる
    • 便の色が白くなる
  • 胆のうがんの場合に起こる症状
    • 胆石を合併する場合が多い
      • 右上腹部の痛み
      • 発熱
      • 黄疸
    • 食欲不振
    • 体重減少
  • 乳頭部がんの場合に起こる症状
    • 黄疸以外の症状が出ないことが多い
    • 黄疸の症状は、出たり消えたりする
症状の詳細

胆道がんの検査・診断

  • 血液検査:肝臓の酵素の値やビリルビンの量、腫瘍マーカーの値を調べる
  • 腹部超音波検査:胆道の状態を調べる
  • 腹部CT検査腫瘍の大きさや位置を調べる
  • 磁気共鳴胆管膵管撮影検査(MRI):腫瘍の大きさや位置、胆道の狭さの程度を調べる
  • 内視鏡的逆行性胆管造影ERCP):胆道の狭さの程度を調べる、腫瘍細胞を採取して病理検査を行う、黄疸に対するドレナージを行う
検査・診断の詳細

胆道がんの治療法

  • 手術によってがんを取り除くのが一番生存率が高い
    • がん細胞をすべて取り除かなくては根治は期待できない
    • 術前の検査をしっかりと行って、目に見えないがん細胞や画像検査に写らないがん細胞が潜んでいないかを探すことが大切
  • 化学療法抗癌剤治療
    • 手術のできない場合に行う
    • 抗がん剤の中でもゲムシタビン、シスプラチンを使用することが多い
  • 放射線療法
    • 治療効果を上げるために、化学療法の補助として行うことが多い
治療法の詳細

胆道がんの経過と病院探しのポイント

胆道がんが心配な方

胆道がんは、他のがんと似て初期には症状が出づらい病気の一つです。その中でも比較的でやすい症状として、腹部の違和感や原因不明の発熱といったものがあります。ある程度腫瘍が大きくなってくると、違和感が明確な痛みになったり、黄疸といって皮膚や目が黄色くなってきます。

ご自身が胆道がんでないかと心配になった時には、まずは近所のかかりつけの病院を受診することをお勧めします。基本的な診察や血液検査を受けた上で、そこから診療情報提供書(紹介状)をもらって地域の中核病院を受診しましょう。胆道がんを診断する上で普段の様子やその他の病気の有無、過去の病歴、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。

胆道がんの診断の基本は、血液検査と超音波検査です。これらである程度診断をつけることができますが、診断がつきにくいものや、診断がついた上でより詳しく調べたい場合などにCT、MRI(MRCPもここでは同義です)やERCP、超音波内視鏡といった検査を行います。腹部から針を刺して造影剤を流してレントゲンを撮影する方法もあります。腫瘍マーカーの測定(血液検査の一種)だけで胆道がんの診断はできませんが、参考になる項目の一つです。

このように検査と診断は総合的に行われますので、精査に進む段階では一通りの検査ができるような、地域の中核病院をお勧めします。胆道がんかどうかの検査と、胆道がんだった場合にはそのステージを調べる検査が行われます。

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胆道がんでお困りの方

胆道がんの治療には大きく分けて、手術、化学療法(抗がん剤による治療)、放射線療法がありますが、この中でまず始めに検討されるのが手術です。手術は全てのがん細胞を体内から取り除ける可能性がある唯一の治療だからです。化学療法や放射線療法も行われることがありますが、これらは再発のリスクが比較的高く残り、その点で手術ほどの根治性がありません。

手術が行えるかどうかはご本人の体力ももちろんなのですが、がんの広がり具合によって大方は決まります。がんの転移といって、がんが血流やリンパの流れに乗って他の臓器へ広がってしまっている場合、原則的に手術は行われません。

胆道がんの手術が必要となる場合には、消化器外科専門医のいる施設が良いでしょう。手術以外の治療が必要となる場合には、消化器病専門医や、放射線治療専門医による治療を行います。手術については、年間の手術件数が多い病院ほど良いというわけではありませんが、同じ地域の中であれば少なすぎないところの中から探すというのも一つの考え方かもしれません。

胆道がんの治療のうち、体に負担のかかるようなものを望まない場合、そしてがんによる痛みや苦しさを取る治療だけを望む場合には、緩和ケア科のある病院や、ホスピスと呼ばれる施設(必ずしも病院とは限りません)へ入所するという選択肢もあります。しばしば誤解されがちな点ですが、緩和ケアは進行したがんにしか行われないような治療ではありません。どんなに初期の胆道がんであっても必要であれば緩和ケアは行われます。がんに対する心配や悩みを和らげることもドラッグストアで市販されているような痛み止めを内服することも大切ですので、その人その人の必要に応じた緩和ケアが行われます。

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