コロンビアで1,207人に聞いた結果
メキシコとコロンビアの研究班が、アンケート調査で1,207人から得られた回答を解析した結果を、専門誌『Gastroenterology Research and Practice』に報告しました。
この調査では以下のような質問に答えてもらいました。
- グルテンを含む食品により症状が出ているか
- グルテンフリー食をしているか
- グルテンによる病気を医師から診断されたことがあるか
97.2%は診断なし
次の結果が得られました。
自己申告に基づくと、グルテン関連の障害を医師から診断された人の割合は0.41%(0.17-0.96)だった。ほとんどの回答者は医師からグルテン関連の障害の診断を受けることなくグルテンフリー食を行っていると答えた(97.2%)。
回答者のうち、グルテンが原因と見られる問題を医師から診断されていた人は0.41%と、200人に1人未満でした。グルテンフリー食をしていると答えた人のうち、医師の診断は受けていないと答えた人が97.2%でした。
研究班は「したがって、ほとんどの回答者は健康関連の症状とは違った理由で小麦やグルテンの製品を避けている」と結論しています。
グルテンフリーは誰のため?
グルテンフリー食をしている人のほとんどが医師の診断に基づいてはいなかったという報告でした。
グルテンは小麦粉などに含まれているタンパク質です。ほとんどの人にはタンパク質として有益な栄養になりますが、セリアック病という病気の人は、グルテンに反応して腸の炎症が起こってしまいます。
セリアック病は、栄養がうまく吸収されないことによって貧血や低体重など「やせ衰える」症状の原因となる病気です。治療として、つまり「太るための治療」として、一生にわたって食事からグルテンを一切除く「グルテンフリー食」という方法があります。少量のグルテンでも問題になる場合があるので、グルテンフリーの食品をときどき食べるのではグルテンフリー食とは言えません。
セリアック病は白人では数百人に1人程度に発生します。日本人ではきわめてまれと言われています。日本の調査で、対象者470人の中にセリアック病はひとりもいなかったとする報告があります。
グルテンフリー食が必要な人はごく少数です。
グルテンフリー食は一生にわたって多くの食品が禁止になる、非常に厳しい食事制限です。
グルテンフリー製品に手を出す前に、本当にそんな厳しい食事制限が必要なのか医師に相談してみてもいいかもしれません。
もし下痢や便秘が気になっているなら、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がん、バセドウ病、橋本病、糖尿病なども頭に置いておくことは大切です。
執筆者
Self-Reported Prevalence of Gluten-Related Disorders and Adherence to Gluten-Free Diet in Colombian Adult Population.
Gastroenterol Res Pract. 2016.
[PMID: 27648068]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。