2016.07.25 | ニュース

手足口病が重症になった人の特徴

24人の重症例から

from BMC infectious diseases

手足口病が重症になった人の特徴の写真

手足口病は子どもに多く、自然に治る場合がほとんどですが、脳炎などの重症につながることもまれにあります。重症に至った患者の例から、特徴を探る研究が行われました。

◆重症の手足口病患者の特徴は?

シンガポールの研究班が、彼らの病院に入院した患者の2004年から2014年のデータを使って統計解析を行いました。重症の手足口病の患者と、年齢が一致するように選んだ重症ではない手足口病患者を比較することで、重症の手足口病にともなう特徴を調べました。

 

◆けいれん、精神状態など

調査から次の結果が得られました。

重症の手足口病の24症例が同定され、48人の対照とマッチされた。症例のうち17人(70.8%)に中枢神経系の合併症があった。7人(29.2%)は心筋炎の所見のない心血管系の合併症があった。1人の患者は脳炎により死亡した。重症での全体の死亡率は4%だった。低灌流、けいれん、精神状態の変化、髄膜刺激、頻脈、頻呼吸、好中球絶対数の増加、エンテロウイルスA71陽性の所見は、手足口病の重症の経過と有意に関連した。

重症の手足口病の患者24人のデータが見つかりました。そのうち1人は脳炎のため死亡していました。脳炎を含めて、脳や神経のダメージが見られた人が17人いました。ほかに救命のため輸血が必要になるなど、血液の循環に問題が起こった人が7人いました。

重症ではない患者に比べて、重症の手足口病の患者に多かった特徴が見つかりました。

  • 低灌流(血液が全身に十分行き渡らないこと)
  • けいれん
  • 精神状態の変化
  • 髄膜刺激徴候(脳や脊髄の感染・炎症により、診察で項部硬直などの特徴が見られること)
  • 脈拍が速い:1歳未満の重症例では平均184/分
  • 呼吸が速い:1歳未満の重症例では平均40/分
  • 血液検査で好中球(白血球の一種)が増えている
  • エンテロウイルスA71(手足口病の原因ウイルスのひとつ)が検査で見つかる

研究班は「手足口病の子どもの管理では、重症に至るリスクがある患者を特定する助けとするため、臨床医はこれらの要因を考慮するべきである」と結論しています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Risk factors for severe hand foot mouth disease in Singapore: a case control study.

BMC Infect Dis. 2015 Oct 31.

[PMID: 26520791]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る