2016.07.16 | コラム

「バンテリン」と「フェイタス」の違いとは?筋肉痛、関節痛、肩こり、腰痛などへの効果について解説

外用鎮痛薬

「バンテリン」と「フェイタス」の違いとは?筋肉痛、関節痛、肩こり、腰痛などへの効果について解説の写真

フェイタス、バンテリンともに筋肉痛、関節痛、慢性的な肩こり、腰痛などの「痛み」に対してよく使われる市販薬です。この2つの薬はどのような効果の違いがあるのでしょうか? バンテリンとフェイタスについて詳しく解説します。

◆「バンテリン」と「フェイタス」、どちらもNSAIDsという種類の痛み止めを含む外用薬

バンテリン®、フェイタス®は共に市販薬(OTC医薬品)として販売されている外用鎮痛薬です。

商品によって成分が異なる場合もありますが、バンテリンはインドメタシン、フェイタスはフェルビナクという成分が主に使われています。

インドメタシン、フェルビナク共に体内で痛みや炎症などを引き起こす要因となるプロスタグランジンという物質の働きを抑えることで、鎮痛作用や抗炎症作用などをあらわすNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる種類の薬です。

貼り薬、塗り薬などの外用薬としてNSAIDsは関節痛、筋肉痛、腰痛、腱鞘炎などによる痛みや腫れといった症状に有効で、スポーツなど体を動かす運動のお供としても重宝されています。

 

◆インドメタシンを主成分とするバンテリン

バンテリンは興和株式会社が1980年代に入り世界に先駆けて、インドメタシンを皮膚から痛みのある部分に直接浸透させることに成功させ、発売に至った外用薬です。

バンテリンシリーズには塗り薬、スプレータイプの噴霧剤など多くの製品が発売されています。

痛みの症状があらわれている部位によって、それぞれ適したタイプが選択できます。また痛みの元を抑えるインドメタシンに加え、製品によってはl-メントール(エル-メントール)やビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)などの成分が加えられ「痛み」の種類によっても選択可能です。

l-メントールはハッカの成分で患部に清涼感を与え、痛みを和らげる助けになる効果が期待できます。熱感を伴う筋肉痛や関節痛などに有用です。

ビタミンEの成分であるトコフェロールには筋肉の緊張により圧迫されている抹消血管の血流を改善する効果が期待でき、特に慢性的な肩こりや腰痛などに適します。

現在(2016年7月)、バンテリン製品の主流になっているバンテリンEXシリーズにはこれらの成分を組み合わせて、用途に合わせた製品選択が可能になっています。以下は主な商品とその特徴について簡潔にまとめたものです。(それぞれの製剤の特徴による「痛み」の種類などへの適正はあくまでも指標です)

バンテリンコーワエアロゲルEX(主な成分:インドメタシン、l-メントール)

 

 筋肉や関節の深いところまで浸透しやすくなっているゲル状の薬剤を噴霧(または手にとって塗布)して使う製品です。

バンテリンシリーズの中でもl-メントールが多く含まれる製品(1g中の比較)の一つで、打撲や捻挫、筋肉痛といった急な痛みに適しています。

バンテリンコーワ液EX(主な成分:インドメタシン、l-メントール)

液状の薬剤を塗って使う製品です。広範囲に手を汚さず均一に塗ることができ、ベタつきが少なく、肩や腰など広範囲に使えることができます。

バンテリンシリーズの中でもl-メントールが多く含まれる製品(1g中の比較)の一つで、どちらかというと熱感を伴う筋肉痛や関節痛に適しますが、肩こりなどの慢性的な痛みに対しても有用と考えられます。

バンテリンコーワクリームEX(主な成分:インドメタシン、l-メントール、トコフェロール酢酸エステル)

のびの良いクリーム状の製品でマッサージのようによく擦り込みながら使用することで筋肉の張りに対して特に有用です。

トコフェロールを含み血流改善作用より、どちらかというと慢性的な肩こりや腰痛などの痛みに対して適します。

また薬剤中にアルコール成分を含まないため、アルコール類に敏感な体質の人でも比較的安全に使えます。

バンテリンコーワクリーミィーゲルEX(主な成分:インドメタシン、l-メントール、トコフェロール酢酸エステル)

ゲルとクリームのそれぞれの特徴を併せ持ち、浸透性や速乾性に優れ、比較的ベタつかずサラッとした使用感で使える製品です。

肩こりなどの慢性的な痛みだけでなく、筋肉痛などの急な痛みに対しても使えるオールラウンドな製剤になっています。

バンテリンシリーズにはこの他にも貼り薬(ミニパット、パップなど)もあります。また医薬品ではありませんが、サポーターやテーピングテープも発売されていて、色々な用途に合わせた商品のラインナップになっています。

 

◆フェルビナクを主成分とするフェイタス

フェイタスは久光製薬株式会社から発売されているフェルビナクを主な鎮痛成分とする外用薬です。バンテリン同様、フェイタスも貼り薬や塗り薬などいくつかのタイプ(剤形)に分かれ使用部位や用途に合わせた選択が可能になっています。

また主成分以外に清涼感を与え痛みを和らげるl-メントールや血流改善作用をあらわすビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)といった成分を加えた製品がある点も共通しています。

以下は現在(2016年7月)の主な商品とその特徴について簡潔にまとめたものです。
 

フェイタス5.0(主な成分:フェルビナク、l-メントール、トコフェロール酢酸エステル)

従来のフェイタス(フェイタス3.5αなど)に比べ鎮痛成分のフェルビナクの割合が増え、より痛みに対して改善効果が期待できる貼るタイプの製品です。

またフェルビナク以外の有効成分としてl-メントールやトコフェロール酢酸エステルも含みます。

フェイタスの貼り薬の特徴はその優れたフィット感で、高い伸縮性や粘着性により剥がれにくい特徴を持っています。またしっかりと付着するのに、剥がす時の痛みがあらわれにくく工夫されています。これはサロンパス®シリーズなど、貼り薬を長年研究・開発してきた久光製薬の技術によるものと考えられます。

この貼り薬シリーズには、腰など広範囲の部位に適した大判サイズなどもあります。

 

塗るタイプのフェイタス

塗るタイプのフェイタスはさらにいくつかのタイプに分かれます。

広範囲に手を汚さず塗れるローションタイプ(フェイタスローション)、痛みのラインに沿って塗れる透明なゲル状の薬剤を固形状にしたタイプ(フェイタスチックEX)、マッサージしながら塗りこめるクリームタイプ(フェイタスクリーム)、比較的早く乾き清涼感のあるゲルタイプ(フェイタスゲル)が現在発売されています。これらの製品の主な成分はフェルビナクとl-メントールになります。

 

フェイタスシリーズには鎮痛成分をフェルビナクからジクロフェナクナトリウムに変更したフェイタスZシリーズやフェイタスZαジクサスシリーズなどもあります。

ジクロフェナクナトリウムは処方薬(医療用医薬品)・市販薬共にボルタレン®の名称で知られる薬の主成分で一般的にNSAIDsの中でも強い鎮痛作用をあらわす薬です。

 

ここでは市販の外用鎮痛薬であるバンテリンフェイタスについて製品ごとの特徴を中心にみていきました。

貼り薬や塗り薬は使用部位の局所にほぼ限定して効果をあらわすため、飲み薬に比べると全身の副作用が非常に少ないことがメリットです。しかし、全身作用が全く無いわけではなく、アスピリン喘息(鎮痛薬を飲むと出るタイプの喘息)を起こしたことがある人などは使用が制限される場合もあります。

また、かぶれなどの皮膚症状が使用部位にあらわれることもあり、有効成分や貼り薬そのものと肌の相性の良し悪しなどにも左右されます。バンテリンやフェイタスに限らず他の外用薬にもトウガラシ成分が含まれている温感タイプがありますが、患部が温められることで皮膚症状があらわれやすくなることも考えられます。

購入する際はどういった「痛み」や「部位」に使うかだけでなく、自身の体質などを考慮し、薬剤師や登録販売者からよく説明を受けた上で適切な製品を選ぶことが大切です。

 

※ 本記事に登場する薬剤に関して、株式会社メドレーは特定の製薬企業との利害関係はありません

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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