2016.03.27 | コラム

熱くない?自分でもできる?お灸の方法と基礎知識

灸の施術方法を解説
熱くない?自分でもできる?お灸の方法と基礎知識の写真
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お灸は熱いものというイメージを持っていませんか?確かに熱い施灸方法もありますが、他にも様々なお灸の施術方法があります。お灸の基礎知識からセルフケアの考え方まで踏まえて、多種ある施術方法について解説します。

「灸を据える」という慣用句があります。これはお灸が熱いものであるがゆえに、悪いことをした時にお仕置きとして用いられることがあったため、懲らしめる、きつく注意するなどの意味として用いられています。

古くから一般家庭でも行われてきたお灸の施術ですが、今も昔も「熱いもの」というイメージは強く根付いています。しかし、実はお灸の施術には様々な方法があり、熱くない方法もあります。

ではお灸にはどのような施術方法があるのでしょうか?施術方法に先立って、まずはお灸の基礎知識について解説をします。

 

◆お灸の基礎知識

お灸は、ヨモギの葉の裏側の白い繊維のみを精製して作られており、これを艾(もぐさ)と言います。精製したものを円柱状に加工したものが一般的に知られていますが、加工されていない状態の艾を、灸の手技に合わせて大きさや形を整えて使用するという方法もあります。

艾を皮膚にのせて線香などで火を付けると、艾はゆっくりと燃え広がり、徐々に皮膚へと熱が伝わります。この温熱的刺激が生体に効果的な反応をもたらします。鎮痛、自律神経系や内分泌系の調節、血流の調節や免疫機能の変化などが起こり、症状の改善が見られます。

お灸は様々な疾患や症状に対して使われますが、その経過や重症度、患者の体質や年齢、背景となる病気の有無など様々な情報をもとに、数ある灸法(灸の施術方法)の中から適した灸法が選択されます。では灸法には、どのような種類があるのでしょうか?灸法は、大きく「有痕灸」と「無痕灸」の二種類に分けられます。

 

◆有痕灸(ゆうこんきゅう)

有痕灸とは、灸の痕を皮膚に残す施術方法で、皮膚に直接お灸を置いて施灸します。強い温熱刺激を与えることで生じる生体反応を治療に利用します。有痕灸には以下のような分類があります。

  • 透熱灸(とうねつきゅう) :艾を指先で米つぶ程度の大きさの円錐形に形成(専門用語で”ひねる”という)し、直接皮膚にある経穴(けいけつ:いわゆるツボのこと)や押すと痛いところ(圧痛点)に置いて点火する。艾は全て焼く。艾の大きさや太さを変えることで刺激の量を調節する。
  • 焦灼灸(しょうしゃくきゅう):いぼうおのめなどを治すための方法。熱刺激によって施灸部位の硬くなった皮膚や皮下組織を破壊し、かさぶたになった後自然に剥がれ落ちて治癒するのを待つ。
  • (だのうきゅう) :手の指先ほどにひねった艾を直接皮膚にのせて施灸し、あえて火傷を作り、火傷部分に膏薬をのせて化膿させる。化膿することによって白血球数を増加させて生体の免疫力を高めると言われている。火傷が治るまで1~2ヶ月ほどかかる。火傷痕が残り、虚弱体質な人や小児には向かないため、現在専門の施術所以外ではあまり行われていない。

 

◆無痕灸(むこんきゅう)

無痕灸とは、灸の痕を皮膚に残さず程よい温熱刺激を与えて効果的な生体反応を期待する灸法です。文字通り痕を残さない灸法で、虚弱体質の人や小児、初回の治療の人などにも適し、現在の日本では有痕灸よりも幅広く用いられています。無痕灸は以下のような分類があります。

  • 知熱灸(ちねつきゅう):艾のひねり方は透熱灸と同じだが、透熱灸は艾を全部焼ききるのに対して、知熱灸は8~9割ほど燃えたら指で艾を覆い包んで酸欠状態を作り、火を消す。火を消すタイミングは患者が気持ち良い温かさを感じた時が良い。
  • 温灸(おんきゅう):艾を患部から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える方法。和紙などでタバコ状に巻いた艾の先端を燃焼させ、その部分を患部に近付けて直接肌に触れずに温熱刺激を与える棒灸(ぼうきゅう)などがある。
  • 隔物灸(かくぶつきゅう):艾と皮膚の間に何か置いて艾を燃焼させる方法。間に置くものによって、ニンニク灸、味噌灸、生姜灸、びわの葉灸などの名称が付いている。温熱刺激だけでなく、隔物の成分が皮膚に浸透して効能を得ることができる。
  • 艾を使わない灸法:艾を使わず、各種薬物を皮膚に塗布して薬物による刺激を与えることを目的とする、紅灸、うるし灸などがある。

 

◆お灸のセルフケアの考え方

このように、多くの方法が灸法として確立されています。

古くから一般家庭で行われてきたお灸ですが、他人への施術をしなければ、自分自身に施術することは法律で禁止されていません。

しかし、灸法の中には火傷を伴う方法や温熱刺激が強い方法もあり、むやみに行うと化膿や灸あたり(湯あたりのような症状)などが起こることがあります。また、体調によっては用いるべきではない経穴があったり、灸法の選択や刺激量の調節などはデリケートであったりと、注意が必要です。

自分で施術を行う際には、必ず事前にきゆう師の指示を仰ぎましょう。安全で効果的なお灸が可能となれば、QOL(Quality of life:生活の質)の向上に一役買ってくれるのではないでしょうか。

執筆者

名原 史織

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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