子供の脳しんとう後症候群、どんな場合になりやすいのか

脳しんとうを起こした後もいろいろな症状が続くことがあり、脳しんとう後症候群といいます。子供の場合どのくらいの頻度で起こり、どのようなときに可能性が高いのか、カナダの研究チームが、子供の脳しんとう後28日を追跡し検証しました。
脳しんとう後症候群の例として、頭痛、集中力の低下、睡眠障害、易怒性、耳鳴りなどの身体もしくは認知的症状が脳しんとうを起こした後に続きます。
◆3,063人を28日追跡・検証
研究チームは、受傷48時間以内に救急外来を受診した5~17歳の脳しんとうの子供3,063人を28日追跡し、脳しんとう後症候群がどのくらいの頻度で起こり、どのような場合に可能性が高いのか検証しました。
◆3割が脳しんとう後症候群
以下のような結果が得られました。
801人(31.0%)に持続する脳しんとう後症状があった(導出コホート中510人 [30.0%]、検証コホート中291人 [33.0%])。
導出コホートのための12点のPPCSリスクスコアモデルは、女性、13歳以上、医師に診断された片頭痛の既往、過去に脳しんとうで症状が1週間以上持続した既往、頭痛、騒音過敏、
倦怠感 、質問への返答の鈍さ、BESSタンデム立位のエラーが4以上、の変数から成った。AUCは導出コホート0.71 (95% 信頼区間、0.69-0.74)、検証コホート0.68 (0.65-0.72)だった。
脳しんとう後症候群は約3割のこどもに現われていました。、女性、13歳以上、頭痛、騒音過敏、倦怠感、前にも脳しんとうの症状が続いたことがある、片頭痛と診断されたことがある、返答が鈍い、などに当てはまるとき、脳しんとう後症候群が起こりやすいと見られました。
嘔吐や意識消失の症状も脳しんとうの重要な特徴ですが、脳しんとう後症候群が起こりやすい要素には入っていませんでした。
脳しんとうで受診して帰宅されても、回復しないうちに再び衝撃が加わると大変危険ですので、しばらく安静にすることが大事です。症状がなくなっても経過に注意され、気になる症状があれば、もう一度受診なさることをおすすめします。
執筆者
Clinical Risk Score for Persistent Postconcussion Symptoms Among Children With Acute Concussion in the ED.
JAMA. 2016 Mar 8.
[PMID: 26954410]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。