2016.04.01 | コラム

心原性脳梗塞の症状、原因、治療、再発予防とは?

心原性脳梗塞
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この記事のポイント

心臓で作られた血の塊が脳の血管を詰まらせてしまい、脳梗塞を発症する病気を心原性脳梗塞といいます。不整脈が原因となることが多いと言われています。今回は心原性脳梗塞の原因、症状、治療、再発予防について解説していきます。

◆心原性脳梗塞の原因について解説。心臓で血液の塊ができる理由とは?

心臓は普段、規則正しくポンプ活動を行い、全身に血液を送り出しています。心臓の動きが悪くなりったり規則正しく拍動できなくなったりするとポンプ機能が低下します。そうすると血液の流れが悪くなりよどみが生じ、心臓の中に血液の塊(血栓)ができます。この心臓で出来た血の塊が剥がれて、血液の流れに乗って脳の血管を詰まらせると脳梗塞が引き起こされます。心臓で血栓が作られる原因として、最も多いのが心房細動です。心房細動は、心房という場所に異常な電気信号が起こることが原因で生じる不整脈です。

◆心原性脳梗塞の特徴は?

心原性脳梗塞は、脳の太い血管を詰まらせてしまうため、脳梗塞の影響が広い範囲に及んでしまいます。脳のダメージが起きる範囲が広いため、重い後遺症が残る場合が多く注意が必要です。心原性脳梗塞の症状の例を以下にあげます。

  • 片側の手足が動きにくくなる:片麻痺
  • 触られても気づかない、自分の手足の位置がわからなくなってしまう:失認
  • 言葉を話したり理解することが難しくなる:失語

脳の血管に詰まった血液の塊は、脳梗塞を引き起こしますが、脳梗塞が起きてから短時間で血液の塊が溶けて流れが再開すると、症状が大きく改善されることがあります。一方で、脳梗塞が起きて時間が経過した後に、血液の塊が溶けて流れが再開すると、もろくなった血管に一気に血液が流れ込み、新たに脳出血を起こしてしまう場合もあります。

このため、心原性脳梗塞は、発症後に症状が変化することがあるので注意しなければなりません。

◆心原性脳梗塞の治療法と再発予防にはどんな方法があるの?

発症してから4.5時間以内であれば、血栓溶解療法(rt‐PA)という方法で心原性脳梗塞の治療ができます。これは血液の塊を薬で溶かす治療です。脳細胞が完全に死んでしまう前に血液の流れを再開させて、脳の損傷を最小限に抑えることが期待できます。しかし、この治療法はすべての人に行えるわけではなく、決められた適用項目をクリアしていると医師が判断した場合のみに行われます。血栓溶解療法が使えない場合は、脳のむくみをとる治療などを中心に行います。

心原性脳梗塞は、心臓の中で血液の塊が作られることが原因になります。再発を予防するためには血液を固まりにくくする抗凝固療法が行われます。抗凝固療法には以下の薬のどれかを用います。

  • ワルファリン
  • DOAC(Direct Oral Anticoagulation)
    • ダビガトラン(プラザキサ®)
    • リバーロキサバン(エリキュース®)
    • アピキサバン(リクシアナ®)
    • エドキサバン(イグザレルト®)

ワルファリンが長年抗凝固療法の中心を果たしてきましたが、DOACというワーファリンと同じような効果を示す薬がいくつか登場しており臨床で現場でもすでに広く使われています。どの薬を使用するかは、それぞれの利点や副作用、患者さんの全身状態を踏まえた上で判断されます。副作用などのためワルファリンやDOACが使えない場合は、その代わりとして血小板の働きを抑える薬(抗血小板薬)が用いられることもあります。

◆まとめ

心房細動などによって心臓の働きが悪くなると心臓の中で血液の塊が作り出され、その塊が脳の血管を詰まらせて心原性脳梗塞は発症します。また、動脈硬化などが原因で発症する他の種類の脳梗塞と比べると、血液の塊が突然脳の太い血管を詰まらせてしまうため、症状も重くなりやすいという特徴が心原性脳梗塞にはあります。心房細動などを指摘されている場合は、抗凝固薬を使うことで心原性脳梗塞の予防ができる場合もあります。不整脈の治療は心臓のためだけでなく、脳のためにも重要な治療です。

執筆者

中嶋 侑

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。