2016.01.08 | ニュース

肥満の1型糖尿病でインスリンにメトホルミンを足しても効果は変わらない

140人を分析

from JAMA

肥満の1型糖尿病でインスリンにメトホルミンを足しても効果は変わらない の写真

1型糖尿病は血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されにくくなる病気です。今回の研究では、肥満の1型糖尿病患者を対象に、インスリンに加えて、血糖値を下げる薬のメトホルミンを使った効果を検証しました。

◆インスリンとメトホルミンを足すと?

1型糖尿病の薬治療は、体内で足りなくなっているインスリンの注射が代表的です。一方、糖尿病の治療薬として従来から知られているメトホルミンも血糖値を改善する薬として知られていますが、インスリンと同時に使う効果について意見が分かれています。

今回の研究では、肥満で1型糖尿病を持つ満12歳から19歳の患者140人を対象に、インスリンとメトホルミンを合わせて使うことによる効果を検証しました。

 

◆血糖値はわずかに下がるが長期的効果は見られない

以下の結果が得られました。

13週間の追跡期間で、HbA1cの減少はメトホルミン(-0.2%)でプラセボ(0.1%;平均差-0.3%、95%信頼区間-0.6%から0.0%、p=0.02)より大きかった。

しかしながら、この効果の違いは、26週間の追跡時点では継続されず、それぞれの群でベースラインからのHbA1cの平均差は0.2%(平均差0%、95%信頼区間-0.3%から0.3%、p=0.92)であった。

インスリンにメトホルミンを追加すると、13週間後ではわずかに差がありましたが、26週間後ではその差はほとんどありませんでした

筆者らは、「これらの結果は、血糖値の管理のために、1型糖尿病で過体重の青年に対してメトホルミンを処方することは支持しない」と述べています。

 

1型糖尿病の血糖値管理は重要ですが、必ずしも薬を多く使えば良いというわけではないことを示す結果かもしれません。適切な薬を、適切に使うことが大事です。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Effect of Metformin Added to Insulin on Glycemic Control Among Overweight/Obese Adolescents With Type 1 Diabetes: A Randomized Clinical Trial.

JAMA. 2015 Dec 1

[PMID: 26624824]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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