神経性無食欲症患者への再摂食へのアプローチ
神経性無食欲症とは、拒食症とも言われる摂食障害です。若い女性に多い病気です。神経性無食欲症患者の回復にとって体重の増加が重要であることを踏まえて、アメリカとオーストラリアの研究班は、様々な再摂食へのアプローチを検討しました。
◆データベースの情報を再評価
研究班は、文献データベースから関係する研究を検索し、神経性無食欲症の患者に再摂食を促すアプローチについてのデータを集めました。 適した文献が27件見つかりました。
◆再摂食へのアプローチ
次のような結果が得られました。
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軽度から中等度の栄養
失調 患者では、低カロリーの再摂食では少なすぎました。 -
食事を基本とするアプローチでも、鼻からチューブを通す方法を併用したアプローチでも、高カロリーを摂取できました。
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高カロリーの再摂食は、しっかりと監視された状況では、リフィーディング症候群(
慢性的 な栄養不良状態が続いている患者に積極的な栄養補給を行うことにより発症 する一連の代謝 合併症 の総称)のリスクが増えるとは認められませんでした。 -
血管から栄養を摂取する方法は不適切と見られました。
研究班は「今後は、重度の栄養失調患者、栄養の与え方、必要な栄養成分、そしてどのような場所で治療を行うかについても、さらなる調査が必要」と結んでいます。
神経性無食欲症は、様々な原因で起こりえます。本人と周囲が状況を理解して、治療が必要な場合は受診することも考慮する必要があります。こうした研究成果も利用して、健康な食習慣を取り戻す治療が受けられるかもしれません。
執筆者
A systematic review of approaches to refeeding in patients with anorexia nervosa.
Int J Eat Disord. 2015 Dec 12
[PMID: 26661289]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。