糖尿病の薬エキセナチドは、小腸の活動を少なくする

糖尿病の治療では食事により血糖値が上がることが注目されます。治療薬のエキセナチドは血糖値を下げるインスリンの分泌を促すことで血糖値を下げると言われていますが、その作用の中で、小腸の活動を少なくしていることが報告されました。
◆エキセナチドを使うと腸に変化が?
この研究では、2型糖尿病の患者10人と、健康な人10人が対象になりました。対象者はさらに、エキセナチドの注射を受けるグループと、食塩水の注射を受けるグループに分けられ、腸の圧力計や画像検査を使って、小腸の活動を調べられました。
◆小腸の活動が少なく、吐き気とは関係なし
次の結果が得られました。
両群とも、エキセナチド使用時に十二指腸圧波と順行性イベントは少なくなり、内容物の移動は遅く、血清3-OMGと
血糖 値のAUCは小さくなった。吐き気は両群でエキセナチド使用時のほうが大きかったが、小腸運動性と流量の抑制は吐き気が少ないかまったくない対象者にさえ見られた。
エキセナチドを使ったとき、小腸の活動が少なくなり、血糖値も抑えられました。エキセナチドの副作用として吐き気が見られましたが、小腸の活動を少なくする効果は、吐き気とは関係なく見られました。
研究班は「小腸運動機能の抑制は、エキセナチドが食後
このように薬の作用がさまざまな面から検討されることにより、最適な使い方を選んだり、副作用に気を付けるための役に立つかもしれません。
執筆者
The glucagon-like peptide-1 (GLP-1) receptor agonist, exenatide, inhibits small intestinal motility, flow, transit and absorption of glucose in healthy subjects and patients with type 2 diabetes: a randomised controlled trial.
Diabetes. 2015 Oct 15 [Epub ahead of print]
[PMID: 26470783]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。