2015.12.26 | ニュース

発達障害の運動能力、視線を鍛えると向上する?

子ども30人を分析

from Research in developmental disabilities

発達障害の運動能力、視線を鍛えると向上する? の写真

発達性協調運動障害は、ボールを投げる、蹴るや字を書くなどの運動がうまくできない病気です。今回の研究では、発達性協調運動障害の子どもを対象に、視線の行き先を決める練習をした場合にどのような効果があるか検証しました。

◆視線の行き先を決める練習の効果は?

今回の研究では、発達性協調障害の子ども30人を対象に、視線の行き先を決める練習(視線行動練習)が、ボールを投げる、取るといった運動能力に効果があるか検証しました。

視線行動練習は、バスケットボールやダーツなどの成功率を高める練習方法です。動作を開始する前に、目標物を注視する時間を長くし、動作を開始した後はその目標物をあまり見ないようにすることで、成功率を高めると言われています。

今回は、動作前の視線行動練習に着目し、ボールを投げる前に目標物を注視すること、ボールを取る前にボールを目で追うこと、という2つの練習を行いました。

 

◆視線行動練習で運動能力が向上

以下の結果が得られました。

Quiet eye練習により、トレーニング前から視線固定の時間維持が遅延した(QE1:+247ms、QE2:+19%)が、伝統的なトレーニングでは減少した(QE1:-74ms、QE2:-4%)。

QETの対象者は、伝統的なトレーニングを行った群と比べて、ボールを取ろうとする質が有意に改善し、ボールを取る際の肘の屈曲角度も増えた(QET=-28°、伝統的トレーニング=-1°)。

視線行動練習により、動作開始前に物を注視する時間が延び、運動能力も向上しました

 

動作開始前に視線の練習を行うことで、運動能力が向上するという研究結果でした。この練習は機械を使用するため、どこの病院でもできるとは限りませんが、もし機会があれば試してみる価値があるかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Quiet eye training facilitates visuomotor coordination in children with developmental coordination disorder.

Res Dev Disabil. 2015 May

[PMID: 25721344]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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