2015.12.30 | ニュース

大豆のさや線維で腸内フローラを改善して脂肪吸収抑制

マウスに大豆のさや線維を食事に加え検討
from Obesity (Silver Spring, Md.)
大豆のさや線維で腸内フローラを改善して脂肪吸収抑制 の写真
(C) domnitsky - Fotolia.com

食事を軽く済ませたり, 高エネルギーで同じものばかり食べたりしていることが、肥満者の生活習慣の乱れを生む原因になっています。この研究で発見された大豆のさや繊維を食べることによる腸の変化について紹介します。

◆腸内フローラとは

ヒトの腸管内では多種多様な細菌が増殖を続けています。これらを腸内細菌と呼び、それぞれの細菌が集まって複雑な微生物の生態系を腸内で作っています。この細菌の集まりを「腸内フローラ」、別名「腸内細菌叢」と呼んでいます。

 

◆大豆のさや線維からの生成物

この研究では、マウスに肥満の原因となる食事を与えて太らせました。マウスを2グループに分け、一方には食事に15%の枝豆大豆のさや線維を混ぜて、30日間与え続けました。この食事は同じカロリーで主要栄養素のバランスに偏りはないようにしました。腸内で大豆のさや線維からグリセオリンが生成し、腸内フローラに影響があると予想できます。


◆グリセオリンとは

植物が細菌の侵入に反応して生産蓄積する低分子の抗菌性物質ファイトアレキシンの一種です。大豆からは、グリセオリンが生成され、現在までに約200種以上の物質が知られています。

 

◆腸内でのグリセオリンの研究結果

次の結果が得られました。

大豆のさや線維を含んだ食事の群のマウスは体脂肪が増加しなかった。このことはカロリーの吸収が減少(P<0.05)し、中性脂肪の糞便排出が増加したことと関連し、胆汁酸の分泌が減少したこと(P<0.05)によると見られた。10種類の腸内細菌の量の変化(P<0.05)が表れた。

食事に含まれる脂肪の吸収を枝豆大豆のさや線維が抑える結果になりました。

 

この研究は、ヒトを対象にしていないことから限界がありますが、今後研究が進展し、ヒトの腸内に対する枝豆大豆のさや線維の効果が腸に与える影響について解明され、生活習慣病予防になることが目指されています。

執筆者

宮本 知明

参考文献

A novel gastrointestinal microbiome modulator from soy pods reduces absorption of dietary fat in mice.

Obesity (Silver Spring). 2015 Nov 20 [Epub ahead of print]

[PMID: 26584538]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。