◆早い段階での絶食状態が誤嚥性肺炎患者の回復と嚥下機能に与える効果
誤嚥性肺炎患者は、治療中、食べ物が気道に入ってしまう危険性があるので、人工栄養法を必要とすることがあります。適切な誤嚥性肺炎治療は、日常生活の活動の維持に役立ちます。
病前には口から食物を摂取することが可能であった(誤嚥しなかった)、誤嚥性肺炎患者331人を対象として調査しました。対象者を、入院時の医師の指示の違いによって、口から食物を摂取していた「初期経口摂取」グループと、絶食して人工栄養を行っていた「初期の絶食」グループに分けました。
◆絶食をすると治療が長引く
グループごとに比べると、初期の絶食グループでは、入院日から1週間、毎日の栄養摂取が悪かったため、経口摂取グループと比べて、治療期間がおよそ1.5倍に長くなりました。さらに、治療期間中を通じて、食物を飲み込む機能が低下しました。
入院時の患者を絶食状態にすることは、患者に治療期間を伸ばしたり飲み込む機能が低下することを含む影響がでる結果となりました。
誤嚥性肺炎の危険には配慮しつつも、不必要な絶食を行わないことが検討されるべきなのかもしれません。
執筆者
Tentative nil per os leads to poor outcomes in older adults with aspiration pneumonia.
Clin Nutr. 2015 Oct 9
[PMID: 26481947]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。