◆前立腺肥大症でホルモン療法を行った人の転倒リスクは?
前立腺肥大症のホルモン療法では、前立腺選択的α遮断薬(タムスロシン、アルフゾシン、シロドシンなど)が使われることがありますが、副作用として低血圧症が報告されており、転倒の危険性があると考えられています。
今回の研究では、前立腺肥大症の患者147,084人を含む対象者を分析し、前立腺選択的α遮断薬と転倒の危険性の関連を検証しました。
◆前立腺選択的α遮断薬で転倒の危険性はわずかに増える
以下の結果が得られました。
前立腺選択的α遮断薬を飲んでいる男性では、飲んでいないコホートと比較して、転倒のリスク(オッズ比1.14、95%信頼区間1.07-1.21、絶対リスク差0.17%、95%信頼区間0.08-0.25%)、骨折の発生リスク(オッズ比1.16、95%信頼区間1.04-1.29、絶対リスク差0.06%、95%信頼区間0.02-0.11%)を有意に増大した。
前立腺選択的α遮断薬を使っている人では、転倒の危険性がわずかに増えるという結果でした。
転倒により骨折の危険性が増え、入院につながることも考えられます。病気とその薬の特徴を踏まえて、使うことが大事です。
執筆者
The risk of fall and fracture with the initiation of a prostate-selective α antagonist: a population based cohort study.
BMJ. 2015 Oct 26
[PMID: 26502947]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。