◆出産前後の問題はどちらが少ないか?
オーストラリアの研究班は、双子などではない単子妊娠で、骨盤位であり、37週未満の早産で産まれた子どもと母親のデータを解析しました。
帝王切開を行ったときと経膣分娩を行ったときで、出産前後の死亡や、出産に関わる問題(合併症)の頻度に違いがあるかを調べました。
◆死亡/合併症が減少
次の結果が得られました。
計画された帝王切開(1,935件)は、計画された経膣分娩(6,421件)と比べて周産期死亡率の有意な減少と関連しなかった(1.3% vs 1.5%、調整オッズ比0.97、95%信頼区間0.60-1.57)。しかし、周産期死亡および合併症の複合については、計画された帝王切開群で有意な減少が見られた(8.7% vs 10.4%、調整オッズ比0.77、95%信頼区間0.63-0.93)。
計画された帝王切開では、計画された経膣分娩と比べて、出産前後に子どもが死亡した頻度に違いが見られませんでした。子どもの死亡とその他の合併症をあわせて見たとき、計画された帝王切開のほうが問題が起こる頻度が低くなっていました。
帝王切開には良い面と悪い面があり、どんな場合に勧められるかは慎重に検討される必要があります。ここでは骨盤位と早産というリスクのある場合で、良い結果が見られました。母親ごと、出産ごとに違う状況の中で出産の方法を選ぶために、この結果が参考になるかもしれません。
執筆者
Preterm Breech Presentation: A Comparison of Intended Vaginal and Intended Cesarean Delivery.
Obstet Gynecol. 2015 Nov 5 [Epub ahead of print]
[PMID: 26551172]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。