◆オセルタミビル使用中の女性が母乳を提供
研究班は、インフルエンザをオセルタミビルで治療された女性について相談を受けました。この女性は9か月の子どもに授乳中でしたが、オセルタミビルが母乳を通じて子どもに影響を与えるかどうかを判断する根拠がなかったため、研究班によって治療期間の授乳中止を勧められました。
研究班はオセルタミビルの治療が行われた5日間に、この女性から母乳のサンプルを提供してもらい、母乳の中にオセルタミビルまたはその代謝物が含まれているかどうかを調べました。
◆体重1kgあたり0.012mgに相当
分析の結果、母乳に含まれていたオセルタミビルとその代謝物の量はわずかでした。乳児が1日母乳だけを飲んだ場合、最大で体重1kgあたり0.012mg程度のオセルタミビルを飲むことに相当すると計算されました。これは母親が体重1kgあたり2.5mg程度を飲んでいたことに比べると0.5%の量であり、一般に安全性の目安とされる10%を下回ることから、影響の心配が少ない範囲と見られました。
微量ながら母乳にもオセルタミビルが移行することから、タミフルの添付文書には「授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせる」という記載がありますが、具体的な危険性が指摘されているわけではありません。
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。