◆麻黄湯、オセルタミビル、ザナミビルの3群にランダムに振り分け
漢方で使う生薬のひとつである麻黄湯(まおうとう)は、かぜや関節痛などの症状が出たときに飲むと良いとされているものです。
今回の研究では、発症48時間以内のインフルエンザ患者28人を麻黄湯、オセルタミビル、ザナミビルで治療を行う群にランダムに分け、効果を検証しました。
◆麻黄湯はオセルタミビル、ザナミビルと効果が変わらない
以下の結果が得られました。
熱が出ている時間の中央値は、麻黄湯に割り付けられた患者で29時間、オセルタミビルで46時間、ザナミビルで27時間であり、麻黄湯とオセルタミビルで有意差があった。
3群間で、総症状スコアに有意差は見られなかった。
発熱している時間は、オセルタミビルよりも麻黄湯で短いという結果でした。麻黄湯、オセルタミビル、ザナミビルの間で、症状のスコアには差がありませんでした。
漢方薬のうちいくつかは、ほかの薬と違った働きによって効果を現すことが知られています。麻黄湯がインフルエンザに効果があるという研究結果は、ほかの薬が使えない場合などの役に立つかもしれません。ただし、漢方薬も適切な処方を必要とする薬である点に違いはなく、関心のある方は医師にご相談ください。
執筆者
A randomized, controlled trial comparing traditional herbal medicine and neuraminidase inhibitors in the treatment of seasonal influenza.
J Infect Chemother. 2012 Aug
[PMID: 22350323]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。