◆16,492人を対象に骨折に関連する因子を調査
著者らは、以下の調査を行いました。
8,280人のサキサグリプチン処置患者と8,212人の偽薬投与の患者で骨折発症率の比較を行った。更に被験者のベースラインの特徴と骨折リスクも解析した。
つまりサキサグリプチンを使った場合と使わなかった場合の骨折の比率を求めたのに加え、他の因子と骨折リスクの相関関係についても調べました。
◆6因子について骨折リスクと相関関係が存在
著者らの調査の結果、サキサグリプチンの使用で骨折リスクの増加は見られませんでした。ただし別の解析によって以下の結果が得られました。
多変量コックス比例ハザードモデル解析では、骨折リスクが、女性(p<0.0001)、長い糖尿病発症期間(p<0.0001)、高齢(p=0.002)、主要な低血糖イベント(p=0.001)、治験薬使用の不履行(p=0.01)とチアゾリジン誘導体投与(p=0.03)について、相関関係があった。
つまり以前から知られていた5要因に加え、糖尿病発症期間の長さにも、骨折リスクとの相関関係が見られました。
著者らは、「高齢の2型糖尿病患者の大規模集団で、サキサグリプチン処置は骨折上昇と相関関係に無かった。長い発症期間と骨折リスク上昇の相関関係は、興味深い発見である」と述べています。
6要因の内容から、糖尿病患者の骨折リスクの上昇は、血中ホルモン濃度や骨と脂肪のバランス等、複雑な理由がありそうです。特に糖尿病発症期間と骨折リスクの相関関係は新しい発見であり、今後の糖尿病患者における骨折リスク評価に影響を与えるかも知れません。
執筆者
Incidence of Fractures in Patients With Type 2 Diabetes in the SAVOR-TIMI 53 Trial.
Diabetes Care. 2015 Sep 10
[PMID: 26358285]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。