2015.09.21 | ニュース

胆石による急性膵炎は多くが正常に回復するが約13%が慢性化する

急性膵炎発症から5年後まで追跡調査

from Materia medica Polona. Polish journal of medicine and pharmacy

胆石による急性膵炎は多くが正常に回復するが約13%が慢性化する の写真

急性膵炎は慢性化すると膵がんの危険性を上げると言われています。どのくらいの患者さんが慢性化するのでしょうか?『急性膵炎診療ガイドライン2015』で引用されている1996年の論文を紹介します。

◆急性膵炎を発症した患者の経過を追跡

胆石が原因で発症した急性膵炎の患者30人について、さまざまな検査方法を用いて、急性膵炎発症後6-12ヶ月、3-5年のそれぞれの時点の膵炎の状態を観察しました。

 

◆膵臓の構造異常が急性膵炎発症から3-5年後まで残っている人は13.3%

以下のことがわかりました。

画像によれば、膵臓の構造異常(膵臓の拡大、仮性のう胞、ウイルスング管の拡張)は、急性膵炎後6-12ヶ月時点では、USで検査すると33.3%の患者に、CTで検査すると56.6%の患者に、急性膵炎後3-5年時点の患者では、USでもCTでも13.3%に見られた。

急性膵炎を発症した後、3から5年後まで膵臓の異常が認められた患者は、全体の13.3%であったという結果でした。

 

『急性膵炎診療ガイドライン2015』では、「急性膵炎後の慢性膵炎への移行率は3〜15%といわれている」と記載されています。慢性膵炎に発展させないことが、早期の検査と治療の重要な課題のひとつになります。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

The natural course of acute gallstone pancreatitis.

Mater Med Pol. 1996 Jan-Mar

[PMID: 9088119]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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