2015.09.15 | ニュース

頭を負傷した人ではADHDが多い

カナダ3,993人の横断研究

from Journal of psychiatric research

頭を負傷した人ではADHDが多いの写真

衝動的な行動などの特徴が現れる注意欠如・多動性障害(ADHD)の原因は正確にはわかっていません。カナダの調査で、頭の負傷があった人にはADHDがある割合が大きかったことが報告されました。

◆18歳以上3,993人に電話調査

研究班は、カナダの18歳以上の成人3,993人を対象として電話調査を行いました。対象者からは、これまでに失神や入院に至る頭の負傷をしたことがあるかとともに、ADHDの診断を受けたことがあるか、またADHDの診断に使われる質問票の質問によって、ADHDの有無についての情報を聞き取りました。

 

◆外傷性脳損傷があった人でADHDが多い

次の結果が得られました。

外傷性脳損傷の既往歴がある成人の間で、6.6%(95%信頼区間4.7-9.4)にADHD陽性所見が検出され、5.9%(95%信頼区間3.6-9.5)が生涯にADHDの診断を受けたことがあると報告した。外傷性脳損傷の既往歴がある成人は、ない成人と比べて、性別、年齢、教育水準の値を一定に保ったとき、ADHD/ASRSスクリーニングの陽性スコア(オッズ比2.49、95%信頼区間1.54-4.04)、またはADHDの診断(オッズ比2.64、95%信頼区間1.40-4.98)を示すオッズが有意に高かった。

頭の負傷の経験がある人には、ADHDの診断を受けたことがある人、質問の回答によってADHDの疑いがあると見られた人の割合がともに大きくなっていました

 

この結果からは、頭の負傷が原因でADHDが起こるのか、ADHDによる衝動的な行動などが原因で負傷が多くなるのかは断定できません。負傷予防の対策ではどんな場合を重視するべきか、より詳しい情報ともあわせて検討する材料になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The association between traumatic brain injury and ADHD in a Canadian adult sample.

J Psychiatr Res. 2015 Oct

[PMID: 26343610]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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