◆内視鏡手術とは?
使用機器の解説をするにあたって、「内視鏡」という言葉について前置きをしておきます。
一般的に内視鏡と言えば、胃カメラや大腸カメラの検査が思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。確かに、胃カメラや大腸カメラに使用されるのは内視鏡です。内視鏡とは、人の体内にカメラを挿入して中を視る事を指すため、胃カメラも腹腔鏡もどちらも「内視鏡」なのです。
今回ここで解説する内視鏡とは、腹腔鏡手術など、手術室にて行われる、お腹などの体に穴を開けて器具を挿入して行う手術に使われる内視鏡の事とご理解ください。とはいえ、胃カメラも腹腔鏡も、形状の違いはあるものの、使用する機器の基本的なシステムに大差ない事もつけ加えておきます。
手術室で行われる内視鏡手術とは、腹腔(お腹の中)や胸腔(肺のある胸の空間)や、鼻腔(鼻の中)や関節腔(膝などの関節の中)などを覗くために内視鏡を体内に挿入して、中の状態をモニター画面で見ながら行う手術手技です。一言で内視鏡と言っても、内視鏡を用いた手術を行うためには複数の医療機器を組み合わせて使用します。目標部位を覗くために必要な、基本的な医療機器をご紹介します。
◆内視鏡
目標部位に挿入して目標部位を映すカメラの事を言います。カメラと言っても、一眼レフやデジカメ等の形状とは大きく異なります。どちらかというと、胃の内視鏡検査(胃カメラ)に使用される先端が細長いカメラに似た形状です。胃カメラに使用されるカメラは多少の柔らかさがあり、曲げる事が可能ですが、手術に使用されるカメラは硬く、曲がりません。先端のカメラ部分は様々な形状がありますが、先端だけ柔らかく曲がって周りを見渡せるものや、先端は曲がらずレンズの取り付けに角度が付いていて、目標部位に応じて角度をつけて見やすくするものなど、形状は様々です。手術部位や術者の好みなどに応じて使い分けられます。
◆光源装置
体の中は真っ暗です。ライトを照らす事が必要です。前記の内視鏡に光ファイバーが入っており、光源コードというコードをカメラに接続する事によって内部を照らす事ができます。
◆送気装置
主に腹腔鏡で使用されます。腹腔内は本来密封されたような状態になっており、胃や腸など、中の臓器を手術操作するためにはある程度の空間が必要です。この空間を作るために、炭酸ガスを腹腔内に注入します。あまりたくさん入れすぎても体に悪影響があるため、入れる量や圧を調節するために送気装置を用います。
これらを組み合わせて使用し、目標部位を見ながら手術操作をします。これらの医療機器がバラバラになっていて組み立てるものもあれば、一体型になったものもあります。
前置きにて内視鏡の使用用途を幾つか挙げましたが、その他にも皆さんが思っている以上に、意外な部位に、幅広く、活用されています。また別の機会にご紹介したいと思います。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。