2015.07.26 | ニュース

リスから未知のウイルス発見、脳炎で3人死亡

2013年までに3人の死者、ドイツから

from The New England journal of medicine

リスから未知のウイルス発見、脳炎で3人死亡の写真

感染症を起こす病原体として、MERSのようにかつて知られていなかったものが新しく見つかることもごくまれにあります。ドイツの研究班から、脳炎で死亡した3人の患者に、リスから感染したと見られる未知のウイルスが見つかったことが報告されました。

◆新型ボルナウイルス

新しいウイルスは、家畜に脳炎を起こす病原体として知られる「ボルナウイルス」の一種と見られています。ボルナウイルスは人間に感染症を起こすという説もありますが、広く認知されるには至っていません。新しいウイルスは、遺伝子解析により、既知のボルナウイルスとは違う種類のものと見られました。

 

◆脳炎による死者とリスから発見

新しいウイルスは、2011年から2013年に脳炎で死亡した3人の患者の脳から見つかりました。3人は「カワリリス」という、コスタリカなど北中米に生息するリスのブリーダーでした。患者の脳と、感染に関わった可能性のあるリスから病原体の遺伝子を探した結果、新しいウイルスが見つかりました。

 

対策のためには、ウイルスがどこからリスに感染し、どのように人間に伝わるかなど、多くの情報が必要です。今後の研究を見守りましょう。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A Variegated Squirrel Bornavirus Associated with Fatal Human Encephalitis.

N Engl J Med. 2015 Jul 9

 

[PMID: 26154788]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る