2015.07.06 | ニュース

うつ病治療に光療法の効果を検証、76%でうつ症状なしに

トルコで50人のランダム化試験

from The Journal of clinical psychiatry

うつ病治療に光療法の効果を検証、76%でうつ症状なしにの写真

うつ病には抗うつ薬のほかにさまざまな治療法が試されています。そのひとつに、明るい光を浴びる「光療法」があります。光療法は睡眠障害などに対して使われる場合もあり、体の一日のリズムを作る機能に影響すると考えられています。トルコの研究班が、重症のうつ病患者に抗うつ薬とともに光療法を行い、治療8週目には対象者の76%でうつ症状がなくなったという結果を示しました。

◆重症うつ病患者に薬剤と併用

研究班は、重症のうつ病がある50人の入院患者を対象として、抗うつ薬のベンラファキシンだけで治療する群と、ベンラファキシンに加えて光療法として毎日朝7時から1時間、7,000ルクスの光を照射装置から浴びる群にランダムに振り分け、それぞれの治療効果を調べました。

 

◆ベンラファキシン単独よりも効果あり

治療から次の結果が得られました。

ベンラファキシン+光療法で治療された人は、治療第2週のあとでHDRSのうつ症状のスコア(P<0.05)、BDIのスコア(P<0.05)、POMSの陰性気分状態スコア(「抑うつ-落ち込み」、「緊張-不安」、「怒り-敵意」、「疲労-無気力」、「混乱-当惑」の尺度がすべてP<0.05)が有意に低かった。[...]第8週には、ベンラファキシン+光療法を受けた患者の76%(19人)が[...]うつ症状からの完全な回復を得た(HDRSスコア≦7)。

ベンラファキシンだけの治療を受けたグループよりも、ベンラファキシンと光療法を受けたグループでうつ症状のスコアがより改善していました。また、ベンラファキシンだけのグループと統計的に有意な差はありませんでしたが、ベンラファキシンと光療法を受けたグループのうち76%で、うつ症状のスコアが正常の範囲にまで改善しました

 

光療法を抗うつ薬と組み合わせることで、より高い効果が得られたという結果が示されました。ただし、ベンラファキシンは日本ではまだ承認申請中です(2015年7月2日時点)。ほかの抗うつ薬と組み合わせた場合や、光療法を単独で使った場合の効果はここでは調べられていませんが、今後うつ病の治療の中で、光療法の価値が検討されていくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Comparison of Venlafaxine Alone Versus Venlafaxine Plus Bright Light Therapy Combination for Severe Major Depressive Disorder.

J Clin Psychiatry. 2015 May

 

[PMID: 26035199]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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