◆1,303人の子どもを対象に、出生から5年間の母乳と歯科保健状態を調査
研究チームは母乳と不正咬合には関連があるかどうかを調べるため、以下の方法で研究を行いました。
出生コホート研究からネストした歯科保健についての研究を、5歳時に行った(対象者1303人)。母乳での育て方のタイプは、出生時、3、12、24ヶ月の時に記録した。開咬、交叉咬合、オーバージェット、中程度/重度の不正咬合が評価された。
つまり1,303人を対象に、子どもが出生から5歳になるまでの5年間、母乳の飲み方と歯列咬合の状態を調査しました。
◆生後6ヶ月間、母乳で育てられた子どもが不正咬合になる割合は低い
調査の結果、「出生後から3〜5.9ヶ月間母乳で育てられた子どもと、6ヶ月間母乳で育てられた子どもは、全く母乳を飲んでいない子どもと比較して、不正咬合になる確率がそれぞれ41%、72%低い」ことが示されました。
研究チームは、「子どもの病気や障害を防ぐために、6ヶ月までもっぱら母乳で育てることを促進していくことは、不正咬合を防ぐための効果的な集団的戦略になるだろう。」と述べています。
不正咬合の原因は未だ明確ではないため、母乳以外にも不正咬合と関係する背景が存在するかもしれません。この結果がそうした未知の背景によって生み出されていた可能性は否定できません。
母乳で育てることにはほかにもさまざまな面で健康に良い影響があると言われていますが、その反面、ビタミンKが少ないため母乳だけで育ててビタミンKを補わないと出血しやすくなるといった注意点もあります。家族のライフスタイルに合った子育ての方法を考えるうえで、この研究はひとつの参考になるかもしれません。
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