2015.06.22 | ニュース

肥満の子どもに多かった危険な病気

日本の入院のデータから
from Pediatric obesity
肥満の子どもに多かった危険な病気の写真
(C) Andrew Blue - Fotolia.com

肥満は糖尿病やメタボリックシンドロームだけでなく、さまざまな病気のリスクに関連すると考えられています。子どもも例外ではありません。産業医科大学の研究班が、日本で急性膵炎が起こった子どものデータを統計解析し、肥満の子どものほうが重症例が多く、死亡例も多かったことを報告しました。

◆5歳から17歳の急性膵炎のデータ

研究班は次の対象者のデータを解析しました。

日本で2010年から2012年に、5歳から17歳の小児科患者416人に起こった500例の急性膵炎が260箇所の病院から紹介された。患者は肥満がある群(65例)とない群(435例)の2群に分けられた。

5歳から17歳で急性膵炎が起こり紹介受診した416人、500回の受診について調べました。

 

◆重症、死亡ともに肥満と関連

解析から次の結果が得られました。

肥満がある患者では、ない患者に比べて重症急性膵炎罹患率(36.9%&ensp;vs&ensp;16.3%)、入院中の死亡率(3.1%&ensp;vs&ensp;0.0%)が有意に高かった(いずれもP<0.001)。

肥満がある子どものほうが、重症である割合、死亡した割合がともに多くなっていました

研究班は「この研究は肥満が有意に小児の急性膵炎の帰結に影響することを示した」と結論しています。

 

この結果からは、重症の急性膵炎を起こしやすい子どもが肥満になりやすいという可能性も否定できません。膵臓は血糖値を調節するホルモンを作る場所で、膵臓の病気と肥満の間にはさまざまな関係が想像できるため、何が原因で何が結果なのかは慎重に考える必要がありそうです。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Impact of obesity on outcomes of paediatric acute pancreatitis based on a national administrative database.

Pediatr Obes. 2015 Jun 10 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26061540]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。