やっぱり2次元より3次元がいい? 腹腔鏡の比較研究

腹腔鏡手術は、一般的に開腹手術よりも患者への侵襲が少なく回復が早い一方で、執刀医の熟練が必要です。モニタに写る2次元の映像を見て、奥行きの感覚がわからないままで3次元の操作をするのが、腹腔鏡手術の難しいところのひとつです。これを解決するため、近年立体画像がモニタに出る3D腹腔鏡が開発されました。3D腹腔鏡を使うと腹腔鏡手術の結果が改善されるのかどうか、これまでの報告がまとめられました。
◆31件の比較研究を統合
研究班は、3D
対象になった論文から、それぞれの研究で治療された人の人数、年齢、性別などに加え、行われた腹腔鏡手術の種類、使われた腹腔鏡の種類などの情報を集めて比較検討しました。
◆時間短縮と誤操作減少の報告が多い
31件の研究のうち、実際の治療を比較したものは3件で、3D腹腔鏡を使ったシミュレーションで比較したものは28件でした。31件の研究すべてが手術時間を比較しており、そのうち19件では手術の誤操作が多いか少ないかが比較されていました。
手術時間について、31件のうち22件では「3D腹腔鏡を使ったときのほうが統計的に短い」と結論されていました。手術の誤操作については、19件のうち12件が、「3D腹腔鏡を使ったときのほうが誤操作が統計的に少ない」と結論していました。
研究班は「3D腹腔鏡は2D腹腔鏡に比べて手術の時間を短縮でき、誤操作を少なくするように見える」とまとめたうえ、「実際の治療の結果がさらに検討される必要がある」と述べています。
この結論のとおり、これから新しい課題が現れてくるかもしれませんが、3D腹腔鏡は新しい治療方法として定着していくでしょうか? 実際に使ってみたことのある方は、どう思われますか?
執筆者
Three-dimensional versus two-dimensional vision in laparoscopy: a systematic review.
Surg Endosc. 2015 Apr 4
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。