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フトラフール腸溶顆粒50%
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効果・効能

消化器癌(胃癌、結腸癌・直腸癌)、乳癌の自覚的・他覚的症状の緩解。

用法・用量

1日量としてテガフール800mg~1200mgを1日2~4回に分けて経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。なお、他の抗悪性腫瘍剤又は放射線との併用の場合は単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。

副作用

承認時及び市販後副作用頻度調査における副作用評価可能症例は9,474例であり、副作用発現率は15.0%(1,425例)であった。主な副作用は食欲不振3.3%、悪心・嘔吐2.7%、下痢1.4%、口内炎0.9%等の消化器症状、白血球減少2.2%、赤血球減少0.8%、血小板減少0.6%等の血液障害、色素沈着1.8%、肝機能障害1.4%、倦怠感1.0%、発疹0.8%等であった。

  1. 重大な副作用

    1. 骨髄抑制、溶血性貧血等の血液障害:汎血球減少、無顆粒球症(症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、白血球減少(2.2%)、貧血(0.8%)、血小板減少(0.6%)、出血傾向、溶血性貧血等が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    2. 劇症肝炎等の重篤な肝障害。
    3. 肝硬変:長期投与においてAST(GOT)、ALT(GPT)の明らかな上昇を伴わずに肝硬変が現れることがあるので、観察を十分に行い、プロトロンビン時間延長、アルブミン低下、コリンエステラーゼ低下、血小板減少等が認められた場合には投与を中止する。
    4. 脱水症状:激しい下痢が現れ、脱水症状まで至ることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行う。
    5. 重篤な腸炎:出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等が現れることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛・激しい下痢等の症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    6. 白質脳症等を含む精神神経障害:白質脳症(意識障害、小脳失調、認知症様症状等を主症状とする)や意識障害、失見当識、傾眠、記憶力低下、錐体外路症状(0.1%未満)、言語障害(0.1%未満)、四肢麻痺、歩行障害、尿失禁、知覚障害等が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止する。
    7. 狭心症、心筋梗塞、不整脈:狭心症、心筋梗塞、不整脈(心室頻拍等を含む)が現れることがあるので、観察を十分に行い、胸痛、失神、息切れ、動悸、心電図異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    8. 急性腎障害、ネフローゼ症候群:急性腎障害、ネフローゼ症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    9. 嗅覚脱失:嗅覚障害(長期投与症例に多い)が現れ、嗅覚脱失まで至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    10. 間質性肺炎:間質性肺炎(初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を行い、副腎皮質ホルモン剤の投与など適切な処置を行う。
    11. 急性膵炎:急性膵炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ値上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    12. 重篤な口内炎、消化管潰瘍、消化管出血:重篤な口内炎、消化管潰瘍、消化管出血(0.1%未満)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    13. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次の副作用が現れることがあるので、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う。

    1. 肝臓:(0.1~5%未満)肝機能障害(AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等)、(0.1%未満)黄疸、(頻度不明)脂肪肝、Al-P上昇。
    2. 腎臓:(0.1%未満)血尿、蛋白尿、(頻度不明)腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)。
    3. 消化器:(0.1~5%未満)食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、口内炎、腹痛、腹部膨満感、心窩部痛、口角炎、(0.1%未満)舌炎、味覚異常、胸やけ、口渇、便秘、(頻度不明)嚥下困難、胃炎、腹鳴。
    4. 精神神経系:(0.1~5%未満)倦怠感、眩暈、しびれ、(0.1%未満)頭痛、(頻度不明)興奮、耳鳴、末梢性ニューロパチー。
    5. 皮膚:(0.1~5%未満)皮膚色素沈着、脱毛、紅潮、(0.1%未満)皮膚角化、皮膚浮腫、皮膚炎、爪異常、光線過敏症、(頻度不明)皮膚水疱、皮膚糜爛、DLE様皮疹[色素沈着、皮膚炎等の皮膚障害は手のひら、足裏等に発現しやすいとの報告がある]。
    6. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、そう痒、(頻度不明)蕁麻疹[投与を中止する]。
    7. 循環器:(頻度不明)胸内苦悶感、胸痛、心電図異常(ST上昇等)、動悸。
    8. その他:(0.1~5%未満)発熱、(頻度不明)灼熱感、関節痛、結膜充血、咳・痰、血痰、糖尿、血糖値上昇、LDH上昇、平均赤血球容積増加(MCV増加)、血清尿酸値上昇、女性型乳房、筋肉痛、CK上昇(CPK上昇)。

使用上の注意

(警告)

  1. 劇症肝炎等の重篤な肝障害が起こることがあるので、定期的(特に投与開始から2カ月間は1カ月に1回以上)に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、肝障害の早期発見に努める。肝障害の前兆又は自覚症状と考えられる食欲不振を伴う倦怠感等の発現に十分に注意し、黄疸(眼球黄染)が現れた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。

  2. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現する恐れがあるので、併用を行わない。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。

  2. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及びテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後7日以内の患者。

  3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。

(慎重投与)

  1. 骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強する恐れがある]。

  2. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害が悪化する恐れがある]。

  3. 腎障害のある患者[副作用が強く現れる恐れがある]。

  4. 感染症を合併している患者[骨髄抑制により、感染症が悪化する恐れがある]。

  5. 心疾患又はその既往歴のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  6. 消化管潰瘍又は消化管出血のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  7. 耐糖能異常のある患者[耐糖能異常が悪化する恐れがある]。

  8. 水痘患者[致命的全身障害が現れる恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、定期的(特に投与開始から2カ月間は1カ月に1回以上)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う。

  2. 重篤な腸炎等により脱水症状が現れた場合には補液等の適切な処置を行う。

  3. 感染症の発現又は感染症悪化・出血傾向の発現又は出血傾向悪化に十分注意する。

  4. 小児に投与する場合には副作用の発現に特に注意し、慎重に投与する。

  5. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮する。

  6. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後、本剤の投与を行う場合は少なくとも7日以上の間隔をあける。

(相互作用)

  1. 併用禁忌:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)[早期に重篤な血液障害や下痢・口内炎等の消化管障害等が発現する恐れがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本剤を投与しない(ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する)]。

  2. 併用注意

    1. フェニトイン[フェニトイン中毒(嘔気・嘔吐・眼振・運動障害等)が発現することがあるので、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う(テガフールによってフェニトインの代謝が抑制され、フェニトインの血中濃度が上昇する)]。
    2. ワルファリンカリウム[ワルファリンカリウムの作用を増強することがあるので、凝固能の変動に注意する(機序は不明である)]。
    3. トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤[重篤な骨髄抑制等の副作用が発現する恐れがある(本剤との併用により、トリフルリジンのDNA取り込みが増加する可能性があり、チピラシル塩酸塩がチミジンホスホリラーゼを阻害することにより、本剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある)]。
    4. 他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射[血液障害・消化管障害等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う(副作用が相互に増強される)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[テガフール・ウラシルを投与された婦人において奇形児を出産したとの報告があり、また、動物実験で催奇形作用の報告(妊娠マウス・ラットで胎仔骨格変異、胎仔化骨遅延等が認められている)がある]。

  2. 授乳婦に投与する場合には授乳を中止させる[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。

(適用上の注意)

服用時:本剤は腸溶剤であり、噛んだり、砕いたりせずに服用するように注意する。

(その他の注意)

  1. 本剤を投与した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。

  2. フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損(DPD欠損)等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。