処方薬
ヒルナミン筋注25mg

ヒルナミン筋注25mgの添付文書

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効果・効能

1.  統合失調症。
1.  躁病。
1.  うつ病における不安・緊張。

(効能又は効果に関連する注意)

経口投与が困難な場合や緊急の場合、また、経口投与が不十分と考えられる場合にのみ使用すること。なお、経口投与が可能で効果が十分と判断された場合には、速やかに経口投与にきりかえること。

用法・用量

レボメプロマジンとして、通常、成人1回25mgを筋肉内注射する。

なお、年齢・症状により適宜増減する。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. Syndrome malin(悪性症候群)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている〔9.1.7参照〕。

  2. 1.2. 突然死(頻度不明):血圧降下、心電図異常(QT間隔延長、T波平低化やT波逆転、二峰性T波出現ないし二峰性U波出現等)に続く突然死が報告されているので、特にQT部分に変化があれば投与を中止すること。また、フェノチアジン系化合物投与中の心電図異常は、大量投与されていた例に多いとの報告がある。

  3. 1.3. 再生不良性貧血、無顆粒球症、白血球減少(頻度不明)〔9.1.2参照〕。

  4. 1.4. 麻痺性イレウス(0.1%未満):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること〔8.2参照〕。

  5. 1.5. 遅発性ジスキネジア(0.1~5%未満)、遅発性ジストニア(頻度不明):長期投与により、遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。

  6. 1.6. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(0.1%未満):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。

  7. 1.7. 眼障害(頻度不明):長期又は大量投与により、角膜混濁・水晶体混濁、網膜色素沈着・角膜色素沈着があらわれることがある。

  8. 1.8. SLE様症状(頻度不明)。

  9. 1.9. 横紋筋融解症(頻度不明):CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。

  10. 1.10. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.8参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 循環器:(頻度不明)血圧降下、頻脈、不整脈、心疾患悪化。
    2. 血液:(頻度不明)白血球減少症、顆粒球減少症、血小板減少性紫斑病。
    3. 消化器:(頻度不明)食欲亢進、食欲不振、舌苔、悪心・嘔吐、下痢、便秘。
    4. 肝臓:(0.1%未満)肝障害。
    5. 錐体外路症状:(頻度不明)パーキンソン症候群(手指振戦、筋強剛、流涎等)、ジスキネジア(口周部不随意運動、四肢不随意運動等の不随意運動等)、ジストニア(眼球上転、眼瞼痙攣、舌突出、痙性斜頸、頸後屈、体幹側屈、後弓反張等)、アカシジア(静坐不能)。
    6. :(頻度不明)縮瞳、眼内圧亢進、視覚障害。
    7. 内分泌:(0.1~5%未満)体重増加、女性化乳房、乳汁分泌、射精不能、月経異常、糖尿。
    8. 精神神経系:(頻度不明)錯乱、不眠、眩暈、頭痛、不安、興奮、易刺激、痙攣。
    9. 過敏症:(頻度不明)過敏症状、光線過敏症。
    10. その他:(頻度不明)口渇、鼻閉、倦怠感、発熱、浮腫、尿閉、無尿、頻尿、尿失禁、皮膚色素沈着。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 昏睡状態、循環虚脱状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある]。
    1. バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる]。
    1. アドレナリン投与中(アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く)の患者〔10.1参照〕。
    1. フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の患者。

(重要な基本的注意)

    1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
    1. 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること〔11.1.4参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 皮質下部の脳障害(脳炎、脳腫瘍、頭部外傷後遺症等)の疑いがある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(高熱反応があらわれるおそれがあるので、このような場合には全身を氷で冷やすか、又は解熱剤を投与するなど適切な処置を行うこと)。

  2. 1.2. 血液障害のある患者:血液障害を悪化させるおそれがある〔11.1.3参照〕。

  3. 1.3. 褐色細胞腫又はパラガングリオーマ、動脈硬化症あるいは心疾患の疑いのある患者:血圧急速変動がみられることがある。

  4. 1.4. 重症喘息、肺気腫、呼吸器感染症等の患者:呼吸抑制があらわれることがある。

  5. 1.5. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させることがある。

  6. 1.6. 高温環境にある患者:体温調節中枢を抑制するため、環境温度に影響されるおそれがある。

  7. 1.7. 脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者:Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい〔11.1.1参照〕。

  8. 1.8. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている〔11.1.10参照〕。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:肝機能障害を悪化させるおそれがある。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物実験(ラット)では、大量投与で胎仔死亡、流産、早産等の胎仔毒性が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状(新生児薬物離脱症候群)や錐体外路症状があらわれたとの報告がある)。

(授乳婦)

投与中及び投与後一定期間は授乳しないことが望ましい(ヒトで母乳中へ移行することが報告されている(外国人データ))。

(小児等)

幼児、小児では錐体外路症状、特にジスキネジアが起こりやすい。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(起立性低血圧、錐体外路症状、脱力感、運動失調、排泄障害等が起こりやすい)。

(相互作用)

    1. 併用禁忌

    アドレナリン(アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く)(ボスミン)〔2.3参照〕[アドレナリンの作用を逆転させ重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強される)]。

    1. 併用注意
    1. 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体・麻酔剤等)[睡眠(催眠)・精神機能抑制の増強、麻酔効果の増強・延長、血圧低下等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること(なお、バルビツール酸誘導体等の抗痙攣作用は、フェノチアジン系薬剤との併用によっても増強されることはないので、この場合抗痙攣剤は減量してはならない)(相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある)]。
    2. 降圧剤[起立性低血圧等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること(相互に降圧作用を増強させることがある)]。
    3. アトロピン様作用を有する薬剤[口渇、眼圧上昇、排尿障害、頻脈、腸管麻痺等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること(相互にアトロピン様作用を増強させることがある)]。
    4. アルコール(飲酒)[眠気、精神運動機能低下等を起こすことがある(相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある)]。
    5. ドンペリドン、メトクロプラミド[内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現するおそれがある(ともに中枢ドパミン受容体遮断作用を有する)]。
    6. リチウム[心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性のSyndrome malin(悪性症候群)、非可逆性の脳障害を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること(機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている)]。
    7. ドパミン作動薬(レボドパ製剤、ブロモクリプチンメシル酸塩)[相互に作用を減弱することがあるので、投与量を調節するなど慎重に投与すること(ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる)]。
    8. 有機燐殺虫剤[縮瞳、徐脈等の症状があらわれることがあるので、接触しないように注意すること(本剤は有機燐殺虫剤の抗コリンエステラーゼ作用を増強し毒性を強めることがある)]。
    9. アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強されるおそれがある)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時の症状は、傾眠から昏睡までの中枢神経系抑制、血圧低下と錐体外路症状である(その他、激越と情緒不安、痙攣、口渇、腸閉塞、心電図変化及び不整脈等があらわれる可能性がある)。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意

    接触皮膚炎、蕁麻疹等の過敏症状を起こすことがあるので、直接の接触を極力避け、付着のおそれのあるときはよく洗浄すること。

    1. 薬剤投与時の注意
  1. 2.1. 筋肉内注射時:組織、神経等への影響を避けるため次記の点に注意すること。

    ・ 同一部位への反復注射はなるべく行わないこと。また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意すること。

    ・ 神経走行部位を避けるよう注意すること。

    ・ 注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

    ・ 筋肉内注射により、局所疼痛、局所発赤、局所発熱、局所腫脹、局所壊死、局所化膿、局所硬結等がみられることがある。

  2. 2.2. 投与速度:起立性低血圧があらわれることがあるので、注射方法について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くすること。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。

  2. 1.2. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告があり、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。

(取扱い上の注意)

光により分解変色するため、開封後は遮光して保存すること。着色の認められるものは使用しないこと。

(保管上の注意)

室温保存。