飲酒量低減薬(アルコール依存症治療薬)
アルコール依存症の進展に関わる体内のオピオイド受容体への作用によって飲酒量の低減作用をあらわす薬
飲酒量低減薬(アルコール依存症治療薬)の解説
飲酒量低減薬(アルコール依存症治療薬)の効果と作用機序
飲酒量低減薬(アルコール依存症治療薬)の薬理作用
アルコール依存症はお酒を大量に飲み続けないと精神的にも肉体的にも自分を保てず、飲酒を止めると離脱症状があらわれ、手の震え、発汗、不安、睡眠の異常などの症状があらわれる。
アルコール依存症が進展していく強化作用には、飲酒により得られる快の情動を求めて飲酒する正の強化と呼ばれるものと、アルコールを繰り返し摂取することで次第に快が減少し代償的に不快が増しその不快を避けるために飲酒する負の強化と呼ばれるものがあると考えられている。
オピオイドとは一般的に体内のオピオイド受容体に作用する物質を示す言葉で、オピオイド受容体にはμ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ)という種類がある。オピオイドの中でも体内で産生されるオピオイドを内因性オピオイドと呼んでいるが、アルコール依存症の強化作用には、この内因性オピオイドの関与が考えられている。
本剤(ナルメフェン)はオピオイドのひとつで、オピオイド受容体のうちμ及びδ受容体に対しては拮抗作用をあらわし、κ受容体に対しては部分的作動作用をあらわす特徴をもつとされる。本剤のアルコール依存症への明確な機序は解明されてはいないが、主にμ受容体とκ受容体へのそれぞれの作用により、慢性的なアルコール摂取によって過剰になっているシグナル伝達が調節されることで、飲酒量の低減作用を発揮するとされている。
なお、アルコール依存症の治療薬としては、シアナミド(商品名:シアナマイド)などの断酒状態で用いる薬剤もあるが、本剤はそれらとは異なり患者が飲酒状態(飲酒を継続している状態)において飲酒量を減らす過程を補助する治療薬となる。また本剤は通常、飲酒量の低減などを目的とした心理社会的治療(酒害教育、精神療法など)と併用される。
飲酒量低減薬(アルコール依存症治療薬)の主な副作用や注意点
- 消化器症状
- 吐き気、食欲減退、便秘、下痢、腹痛などがあらわれる場合がある
- 精神神経系症状
- めまい、眠気、頭痛、不眠症などがあらわれる場合がある
- 循環器症状
動悸 、血圧変動などがあらわれる場合がある
- 全身症状
倦怠感 、体重変動などがあらわれる場合がある
飲酒量低減薬(アルコール依存症治療薬)の一般的な商品とその特徴
セリンクロ
- ナルメフェン製剤
- 本剤は通常、飲酒量の低減などを目的とした心理社会的治療と併用する
- 服用方法などに関して
- 通常、飲酒の1〜2時間前に服用する
- 本剤を服用せずに飲酒し始めた場合には、気づいた時点で直ちに服用する(ただし、飲酒終了後には服用しないこと、など医師の指示に従い適切に服用する)