ちょうかんあめーばしょう
腸管アメーバ症
アメーバ赤痢という原虫による感染症である赤痢アメーバ症の一種。下痢や血液の混じった便が主な症状
4人の医師がチェック 51回の改訂 最終更新: 2017.12.06

腸管アメーバ症の基礎知識

POINT 腸管アメーバ症とは

アメーバ赤痢という原虫が腸で感染を起こした病気です。赤痢アメーバが口から入ることで感染を起こします。腸で感染が起こった後に、肝臓や脳などに赤痢アメーバが移動することがあるので注意が必要です。主な症状は、腹痛・下痢・血便・しぶり腹(便意があるのになかなか便が出ないこと)になります。 血液検査・大腸カメラ・細菌検査を用いて診断します。治療には抗菌薬(メトロニダゾール)を用います。腸管アメーバ症が心配な人や治療したい人は、消化器内科や感染症内科を受診して下さい。

腸管アメーバ症について

  • アメーバ赤痢という原虫による感染症である赤痢アメーバ症の一種
    • 赤痢アメーバ症の中でも、下痢や粘血便など消化管症状が出るものを腸管アメーバ症と呼ぶ
  • 感染した人が排泄した、赤痢アメーバの嚢子(のうし)によって感染が広がる
    • 嚢子に汚染された食物を、生で食べることで感染する
    • 性行為では肛門をなめることによって口から感染する
  • 赤痢アメーバが腸管から血液中に進行して肝臓や肺、脳に移動することがある(腸管外アメーバー症)
  • 海外渡航者、同性愛者、HIV、中年男性、ステロイド使用者に多い

腸管アメーバ症の症状

  • 腹痛
  • 下痢
  • 血便
    • イチゴゼリーのような粘血便が特徴
  • しぶり腹(テネスムス)
    • 便意があるのに便がなかなか出ない
  • お腹が張る

腸管アメーバ症の検査・診断

  • 顕微鏡検査
    • 便や大腸の粘膜を顕微鏡で観察してアメーバ赤痢が存在するかどうかを確認する
  • 血液検査
  • 大腸内視鏡検査大腸カメラ
    • 腸管アメーバ症に特徴的な潰瘍病変の確認や粘膜の組織を採取する

腸管アメーバ症の治療法

  • メトロニダゾールの内服を行う
    • 10日間飲み続ける必要がある
    • 必要に応じてパロモマイシンも追加する

腸管アメーバ症に関連する治療薬

メトロニダゾール製剤

  • 細菌や原虫のDNAの切断作用などにより、抗菌作用や抗原虫作用をあらわす薬
    • 細菌や原虫などが生命活動を行うには遺伝情報が刻まれたDNAが必要となる
    • 本剤は細菌や原虫といった病原微生物に取り込まれた後、抗菌作用及び抗原虫作用をあらわす
    • 本剤は細菌や原虫のDNA切断作用などをあらわす
  • 本剤は原虫であるトリコモナスによる感染症の他、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)などの嫌気性細菌の感染症などで使用する
メトロニダゾール製剤についてもっと詳しく

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