にょうまくかんいざんしょう
尿膜管遺残症
尿膜管(胎児のころに膀胱と母体をつないでいる管)が、生後も閉じずに残っている状態。細菌が感染しやすく、腹痛などの症状が現れる
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最終更新: 2022.06.08
尿膜管遺残症の基礎知識
POINT 尿膜管遺残症とは
臍(へそ)の真下にあり胎児期にへその緒につながっていたものを尿膜管といいます。生後、役目をおえた尿膜管は自然に閉鎖します。しかし、まれに尿膜管が閉鎖しないことがあり、その状態を尿膜管遺残症(にょうまくかんいざんしょう)といいます。尿膜管遺残症があるだけでは問題になりませんが、臍から尿膜管に細菌が入って感染を起こすことがしばしばあり、腹痛などの原因になります。感染が繰り返しおきる場合は手術で尿膜管を切除します。臍から膿が出てきた時には尿膜管遺残症が原因かもしれません。外科か泌尿器科を受診して調べてもらってください。
尿膜管遺残症について
- 尿膜管が生後も閉じずに残っている状態
- 尿膜管は胎児のころに膀胱と母体をつないでいる管
- 胎児のころは、尿膜管はへその緒につながっている
- 尿膜管は通常、出生してから次第に退化し閉鎖される
- 成人の約2%で尿膜管が閉じていないとの報告がある
- 一度閉塞した尿膜管が、感染や膀胱の膨らみにより再び開くこともある
- 尿膜管は胎児のころに膀胱と母体をつないでいる管
- 細菌が感染することがあるい
- 成人になってから感染症が起こって症状が生じることもある
- 稀に尿膜管がんが発生する
尿膜管遺残症の症状
- 尿膜管がどれだけ開いているかによって症状の程度が変わる
- 症状が出ないことも多い
- 尿膜管遺残の程度によっては尿膜管の中を尿が流れて臍(へそ)から尿が漏れ出る
- 排尿時の不快感や痛み
- 感染を起こすと発熱や腹痛が起こる
- 腹痛はへそ周囲や下腹部に出やすい
尿膜管遺残症の検査・診断
- 画像検査:尿膜管遺残症の診断や、臍(へそ)の周囲の炎症の有無や程度を調べる
- 腹部超音波検査
- CT検査
- MRI検査
- 血液検査
- 全身の炎症の程度を調べる
- 細菌学的検査
- 尿や臍(へそ)から出る膿を検査する
- 尿膜管遺残の分類
- 大きく3つに分類できる
- 膀胱臍尿瘻:膀胱と臍がつながった状態
- 尿膜管嚢胞:尿膜管が嚢胞状になった状態
- 尿膜管臍瘻:尿膜管と臍がつながった状態
- 大きく3つに分類できる
尿膜管遺残症の治療法
- 感染が起きた場合には抗菌薬を使用する
- 臍(へそ)から膿が出ている場合、膿瘍が確認できれば局所麻酔下に切開・排膿を行う
- 症状がひどい場合はドレーン(身体の外に膿や液体を出すための管)を挿入する
- 感染が治まっているタイミングを見計らって、手術で尿膜管を切除する
- 膀胱の一部を切除する膀胱部分切除が選択されることもある
尿膜管遺残症の経過と病院探しのポイント
尿膜管遺残症が心配な方
尿膜管遺残症の治療では手術が必要となることがあり、泌尿器科や消化器外科、一般外科で行われます。心配な方はどの診療科でもよいので受診してみてください。手術が必要でないと判断された場合は、感染症内科や一般内科での抗生物質(抗菌薬)による治療を受けることができます。もし、受診した科で治療ができない場合は、適切な診療科を紹介してもらえます。また、緊急性を要することは少ないので、かかりつけ医がいる場合は、まず相談しみてもよいです。
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