にんしんおそ
妊娠悪阻
吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状が増悪し、全身状態が障害される状態
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最終更新: 2018.06.27
妊娠悪阻の基礎知識
POINT 妊娠悪阻とは
妊娠に伴って現れる悪心・嘔吐、食欲不振などの症状を「つわり」といいます。つわりは妊娠5~6週頃からはじまり妊娠12~16週頃にはほとんど消失します。つわりの程度が重症化した状態を「妊娠悪阻」といいます。原因は妊娠に伴うホルモンバランスの変化と考えられていますが、はっきりとは分かってはいません。 つわりは全妊婦の50~80%に起こるといわれています。妊娠悪阻にまで至るのは、妊婦の約0.3~2%です。症状は、吐き気、ほぼ毎日の嘔吐、食欲不振、脱水、持続的な体重減少などです。診断は問診や身体診察、尿検査などから総合的に行われます。治療方法は心身の安静と、一回の食事量を減らして回数を増やすこと、水分補給、吐き気を抑える薬の使用です。脱水症状が重い場合には、点滴で水分を補います。妊娠して水分を取るのも難しいほどの悪心や嘔吐、強い食欲不振を感じる場合には、産婦人科医に相談することをお勧めします。
妊娠悪阻について
- 妊娠初期から多くの妊婦に起こる「つわり」の症状が重症化し、治療を必要とする状態を「妊娠悪阻」と呼ぶ
- つわりの症状が悪化し、食べる量が減ること、嘔吐によって栄養障害や
ビタミン 不足、酸塩基のバランスが崩れる、など体重減少のほかさまざまな症状が生じる
- つわりの症状が悪化し、食べる量が減ること、嘔吐によって栄養障害や
ホルモン が関係していると考えられているが、原因は明らかではない- 妊婦の50~80%程度につわりはみられるものの、入院が必要なほど重症になるのは全妊娠の0.3〜2%
妊娠悪阻の症状
妊娠悪阻の検査・診断
- 妊娠が判明していれば、症状から診断
- 尿検査:栄養が摂取できていないと、体の中に蓄えている栄養をエネルギーに回し始める。その時同時に作られるケトン体がどのくらい尿中にでているか調べる
- 血液検査:脱水による血液濃縮の程度や嘔吐による
電解質 バランスの異常がないか調べる
妊娠悪阻の治療法
- 重症の場合には入院することが多い
- 心身の安静、脱水、飢餓に対する治療を行う
- 食事指導
- 精神療法
輸液 療法:脱水、電解質異常の補正を行う- 薬物療法
ビタミン B6の補充- 制吐薬
- 制吐作用のある漢方薬 など
- 重症な例では母体保護のために人工妊娠中絶が行われることもある