せんてんせいちょうかんへいさ
先天性腸管閉鎖
うまれつき腸(十二指腸、空腸、回腸)の一部が途切れて行き止まりになっている状態
6人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2019.02.18

先天性腸管閉鎖の基礎知識

POINT 先天性腸管閉鎖とは

うまれつき腸(十二指腸や小腸)の一部が途切れて行き止まりになっている状態のことです。その程度によって4種類に大別されます(下記参照)。お腹が膨れていたり、黄色の吐物の嘔吐をしたり、胎便の排泄の遅れなどの症状から疑われます。レントゲン検査やCT検査によって腸のつながり方の程度が調べられます。根本的な治療は手術で、腸をつなぎ直します。先天性腸管狭窄の子どもは小児外科で治療が行われます。

先天性腸管閉鎖について

  • うまれつき腸(十二指腸、空腸、回腸)の一部が途切れて行き止まりになっている状態
  • 発生頻度は人口4,000-5,000人あたり1人
    • 男女差はない
  • Ⅰ型:膜様型閉鎖
    • 粘膜のみが閉鎖する
    • 空腸に多い
  • Ⅱ型:索状型閉鎖
    • 腸の端の部分が索状の物でつながる
  • Ⅲa型:離断型閉鎖
    • 腸間膜(腸と腸の間の膜)がV字に欠損する
    • 回腸に多い
  • Ⅲb型:離断特殊型(apple peel型、christmas-tree型)
    • 広い範囲で腸間膜が欠損し、腸管が栄養血管に巻き付いている
  • Ⅳ型:多発型
    • 離断型と索状型が混合し連続したもの

先天性腸管閉鎖の症状

  • 腹部膨満(お腹が膨れる)
  • 黄金色(時間が経つと胆汁は酸化して濃緑色になる)の嘔吐
    • 胆汁が混じった嘔吐になるため、緑~黄金色となる
    • ほとんどは産まれてから24時間以内に出現する
  • 胎便排泄が遅れる
    • 産まれてから24時間以内にみられる排便が遅れる
    • 胎便は灰白色もしくは淡い緑色

先天性腸管閉鎖の検査・診断

  • 腹部レントゲン検査
    • 腸閉塞を起こしていないか調べる
  • 腹部CT検査
    • 腸のつながり方、閉鎖の具合を調べる

先天性腸管閉鎖の治療法

  • 胃管の留置(胃に管を入れて消化管の圧を下げる)
  • 水分と電解質を点滴する
  • 手術
    • 根本的には手術で改善させることが必要
  • 以下の場合には特に治療が困難を伴い、その後の経過が厳しい場合がある
    • 極低出生体重児(出生時の体重が1500g未満)
    • 閉鎖箇所が1箇所でない場合
    • 腸管に穴があいた場合(腸管穿孔

先天性腸管閉鎖のタグ

先天性腸管閉鎖に関わるからだの部位