ちゅうしゅこつこっせつ
中手骨骨折
手の甲の骨折。パンチなど、手の甲へ強い衝撃が加わることで起こる。ボクサー骨折、中手骨骨幹部骨折、ベネット骨折に分類される
6人の医師がチェック 68回の改訂 最終更新: 2022.03.16

中手骨骨折の基礎知識

POINT 中手骨骨折とは

手の甲の骨を中手骨といい、パンチなどの衝撃によって骨折することがあります。手の激痛や腫れ、ひどい場合には手の甲が変形したり骨が皮膚を突き破ることすらあります。中手骨骨折が疑われる人にはレントゲン検査やCT検査が行われて、詳しい状態が調べられます。よほどひどい状態ではないかぎり、整復して固定すると治ることが多いですが、まれに手術が必要になることもあります。中手骨骨折が疑われる人は整形外科を受診してください。

中手骨骨折について

  • 手の中でも指ではなく手のひらや甲の部分にある骨(中手骨)の骨折
    • 中手骨に強い力がかかって起こる事が多い(事故、喧嘩など)
  • 大きく3つに分類される
    • 骨の真ん中の骨折(中手骨骨幹部骨折)
      • 物が手の甲に当たる、手が踏まれるなど強い力が加わって起こる
    • 中手骨の先端部分(指の近く)の骨折(ボクサー骨折
      • 固いものにパンチをした時に起こりやすい
      • 薬指や小指の中手骨に起きやすい
    • 親指の中手骨の骨折(ベネット骨折)
      • 親指の指先から付け根に向けて、強い力が加わることで起こる
      • 拳を正しく握らずにパンチしたり、突き指などで起こる
      • 親指の中手骨の根元部分が折れる
  • 薬指、小指の中手骨に最も発生しやすい
    • 強い衝撃が加わった場合には第2、3中手骨(人差し指、中指)の骨折も起こる

中手骨骨折の症状

  • パンチ衝撃後の手の激痛や腫れ
  • 手の甲の変形
  • 衝撃が強い場合、骨が皮膚を破って外に出てくることもある

中手骨骨折の検査・診断

  • レントゲン検査
    • 骨折の有無を調べる
    • 骨折の後に、骨がどれだけずれているかも調べる
  • CT検査:レントゲン検査で見えづらい詳細な部分を調べる
    • 必要に応じて行われる

中手骨骨折の治療法

  • 手術を行わずに、整復して固定するだけで比較的治りは良い
    • 保存療法の固定は4-6週間必要(ボクサーの場合はさらに固定期間が必要)
    • 手指の屈伸運動
    • 2か月以上の期間を置いて、レントゲンで骨の癒合を確認する
  • まっすぐに整復するのが困難な場合や、複数本骨折している場合などに、手術が行われるケースが多い
    • 鉄線を刺して骨を固定するなどの処置が必要

中手骨骨折の経過と病院探しのポイント

中手骨骨折が心配な方

中手骨骨折は、手の骨折の一種です。中手骨と呼ばれる、手のひらや手の甲の部分の骨が骨折したものを言います。素手で固いものを殴ったり、手の上に重い物が落ちてきたりといった時に起きやすいけがです。強く打ったりひねったりした後から手が腫れて強い痛みがある場合には中手骨骨折の可能性がありますが、似た症状が見られる状況としてはそれ以外にも骨の脱臼、腱損傷といった外傷があります。ご自身でこのうちのどれかを診断するのは必ずしも容易ではありません。

ご自身の症状が中手骨骨折でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。指の脱臼や筋肉の損傷であれば手術は不要ですのでクリニックで対応が可能です。実際に医療機関を受診された後は、中手骨骨折の診断は診察とレントゲンで行います。中手骨骨折の場合には、手術の必要なものであればレントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。

受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。

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中手骨骨折でお困りの方

中手骨骨折の場合、麻酔をした上で指を引っ張り、骨折による骨のずれを出来る限り元通りに戻します。これを整復といいますが、整復後のずれが小さければ、添え木をすることで安静にして治します。ずれが大きい場合には手術が必要です。中手骨骨折を含む骨折全般は、診断がつき次第その場で治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地は少ないかもしれません。

手術後は、あまり安静にし過ぎているとかえって関節が固まって動かしづらくなってしまうため、痛みに耐えられる範囲で早期からリハビリテーションを開始していきます。

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