とうそう(てんねんとう)
痘瘡(天然痘)
非常に感染力の強いウイルスにより引き起こされる致死性の高い病気。過去の病気で、現在は世界から根絶されたと考えられている
3人の医師がチェック 70回の改訂 最終更新: 2017.12.06

痘瘡(天然痘)の基礎知識

POINT 痘瘡(天然痘)とは

天然痘ウイルスによる感染で起こる病気です。現在は世界で根絶が宣言されており特に感染の心配はいりません。しかし、研究用にウイルスが保存されているため、これがバイオテロなどに悪用されないかが懸念されています。主な症状は、高熱・悪寒・頭痛・腹痛・発疹などになります。 診断は感染組織にウイルスがいるかどうかで下されます。治療はワクチンを用いて行います。痘瘡が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。

痘瘡(天然痘)について

  • 非常に感染力の強い天然痘ウイルスにより引き起こされる致死性の高い病気
    • 痘瘡天然痘)ウイルス感染者の唾液との接触を介して感染し発症する
    • 感染者の咳やくしゃみによる唾液によって広まる
  • 現在はウイルスそのものが撲滅され、世界中に一般に存在していないと考えられている
    • 研究用に保存されている天然痘ウイルスは、テロ目的で悪用される可能性が懸念される病原体の一つである
  • 歴史的には人類史上初めて予防接種が行われた病気である
    • 1796年に英国医師のエドワード・ジェンナーが天然痘の予防接種を発明した

痘瘡(天然痘)の症状

  • 高熱
  • 悪寒
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 背部痛
  • 顔や手足の皮疹(以下の皮疹が順番に出現する)
    • 紅斑
    • 丘疹
    • 水疱
    • 結痂
    • 落屑

痘瘡(天然痘)の検査・診断

  • 組織診発疹の組織サンプルにウイルスの有無を調べる

痘瘡(天然痘)の治療法

  • 治療には細胞培養ワクチン(LC16m8)を使用する
  • 現在では、ワクチンの予防接種は行われていない
  • 1980年にWHOによる天然痘の根絶宣言が出されて以来、現在まで天然痘患者は発生していない

痘瘡(天然痘)の経過と病院探しのポイント

痘瘡(天然痘)が心配な方

痘瘡天然痘)は、1977年にソマリアで報告された患者を最後に、以降世界中でどこにも認められていない病気です。WHO(世界保健機関)の世界的な取り組みによって、1980年には天然痘の世界根絶宣言が出されています。

症状は高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛や皮疹などとされていますが、同様の経過をたどる疾患は水痘手足口病など沢山あります。天然痘である可能性を考慮すべき場面は事実上ほぼないと言って差し支え無いでしょう。

もし上記のような症状が出ていてご心配の場合には、まずは内科、もしくはお子さんであれば小児科のクリニックを受診することをお勧めします。頻度の高い病気から可能性を検討していきますが、大半はクリニックで診断がつくか、あるいは確定的な診断がつかないまでも自然治癒が得られる疾患でしょう。長引いたり、経過がどの病気にも合わないとなれば、その時点でそれまでの検査結果もまとめた上で専門の医療機関を紹介してもらう流れになります。

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