すいぎんちゅうどく
水銀中毒
水銀が体内に入ることによって生じる中毒症状
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最終更新: 2018.03.01
水銀中毒の基礎知識
POINT 水銀中毒とは
水銀が体内に入ることによって起こる中毒症状です。無機水銀と有機水銀による中毒があり、有機水銀による中毒としては1950年代に生じた水俣病が有名です。中毒症状は無機水銀と有機水銀で異なりますが、無機水銀では胃腸障害、腎不全など、有機水銀では手足や口の感覚異常、視野狭窄、手の震え、ふらつき、話にくさ、難聴などが見られます。診断には生活環境の聴取が重要ですが、検査としては血液や尿中、毛髪中の水銀濃度測定が行われます。治療はD-ペニシラミンなどの薬剤で水銀を吸着するなどしますが、中毒症状がでて時間が経っている場合には、症状に応じた治療を適宜行うことになります。水銀中毒が心配な方や治療したい方は救急科を受診してください。
水銀中毒について
- 水銀が体内に入る事によって生じる中毒症状
- 無機水銀と有機水銀で病状が異なる
- 無機水銀による中毒
- 腎臓の機能が低下する
- 胃腸の粘膜が破壊される
- 有機水銀による中毒
- 脳、
脊髄 に入り込み、後遺症を残す
- 脳、
- 無機水銀による中毒
- 無機水銀中毒は農業用消毒剤を自殺目的に内服したり、誤飲した場合などに起こりやすい
- 有機水銀中毒は有機水銀を多量に含んだ魚介類を食べることで体内に入る
- 魚は、水から水銀を取り込みやすい
- 妊婦が魚を摂取することで、胎児にも影響が及ぶ
- 有機水銀中毒としては、1950年代に発生した水俣病が有名
- 有機水銀中毒の症状を合わせてHunter-Russell(ハンターラッセル)症候群と呼ぶこともある
水銀中毒の症状
- 無機水銀による中毒の場合に起こる症状
- みぞおち、腹部の痛み
- 吐き気、嘔吐
- 血が混じった下痢
- 有機水銀による中毒の場合に起こる症状
- しびれ
- 手指のふるえ
- 歩行障害
- 話にくさ
- 難聴 など
水銀中毒の検査・診断
- 血液検査:血中の水銀濃度を調べる
- 尿検査:尿中の水銀濃度を調べる
- 髪の毛の水銀量を調べる
水銀中毒の治療法
- 水銀を体内に取り込んだ場合の緊急治療
- 牛乳を飲ませるなどして、吐かせる(誤飲などの応急処置)
- キレート療法:キレート剤(ジメルカプロール、ペニシラミン)により、水銀の排泄を促す
- 妊婦は水銀含有量が高い魚介類(メカジキ、キンメダイ、クロマグロなど)の摂取に注意する
- 長期的な症状に対する根本治療は未だ実用化されていない