びまんせいはんさいきかんしえん(でぃーぴーびー)
びまん性汎細気管支炎(DPB)
両方の肺で全体的に、細気管支に慢性の炎症が起きる病気
7人の医師がチェック 97回の改訂 最終更新: 2021.12.01

びまん性汎細気管支炎(DPB)の基礎知識

POINT びまん性汎細気管支炎(DPB)とは

両肺全体の細気管支で炎症の起きる病気です。副鼻腔炎を合併することが多いです。主な症状は、鼻づまり・鼻水・咳・痰・息切れなどで、治療を行わないと肺の機能が低下してしまうので、早めから医療機関を受診することは大切です。また、不妊症を合併することもあります。 症状・身体診察・画像検査・血液検査を踏まえて診断することが多いです。治療は少量のマクロライド系抗菌薬を用いることが多いです。びまん性汎細気管支炎が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科や感染症内科を受診して下さい。

びまん性汎細気管支炎(DPB)について

  • 両方の肺で全体的に、細気管支に慢性の炎症が起きる病気
    • 空気の通り道である気管支は、さらに細気管支に分岐して肺の隅々まで張り巡らされている
    • 細菌などに対する細気管支の防御機構が低下していることにより、細気管支に炎症が繰り返し起きてしまう病気
  • 日本には10,000人から15,000人くらいの患者がいると考えられている
    • 10歳代-70歳代まで幅広い年代で発症するが、30歳代-50歳代が多い
    • 日本を中心として、東アジアで患者が多い病気
  • 多くの場合、小児期から青年期に慢性副鼻腔炎となり、長い期間を経て慢性の咳・痰・息切れが加わる(副鼻腔気管支症候群)
  • カルタゲナー(Kartagener)症候群や線毛運動障害を合併することがある
  • 発症には遺伝的要因も関与していると考えられている

びまん性汎細気管支炎(DPB)の症状

  • 主な症状
    • 鼻づまり、鼻水(慢性副鼻腔炎の症状)
    • 持続する咳、痰
    • 動いたときの息切れ
    • 安静にしていても感じる呼吸困難
  • 炎症が起きることによって気管支が狭くなり、空気が通りづらくなるため、息切れが生じる
  • 病状が進むと、痰の量が増え、安静にしている時にも息切れが出現するようになり、呼吸困難につながる
  • 破壊された気管支から出血し、血痰喀血がみられることもある

びまん性汎細気管支炎(DPB)の検査・診断

  • 画像検査:気管支の状態を調べる
    • 胸部レントゲンX線)検査:肺に影があるのかを調べる
    • 胸部CT検査レントゲン検査ではわかりにくい小さな影が肺の中にあるのかを調べる
  • 呼吸機能検査:肺活量などを調べる。病気の進行具合の判断材料とする
  • 症状・病歴・身体診察・画像検査・血液検査を踏まえて診断する
  • 時にHTLV-1というウイルスの感染が見つかることがあるので、採血検査で調べておくことが多い(HTLV-1関連細気管支肺胞異常症)

びまん性汎細気管支炎(DPB)の治療法

  • マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシンなど)の少量長期使用が有効
    • 細菌を倒すために使うのではなく、エリスロマイシンという薬が炎症をやわらげたり細気管支にある線毛の運動を促進したりすることを目的に使用する
    • マクロライド系抗菌薬を年単位にわたって使用することが多い
  • 他に行われる治療として以下のようなものもある
    • 去痰薬の内服
    • 気管支拡張薬の吸入
    • 酸素療法:症状が重い場合は酸素吸入を続ける必要がある
  • 早期の適切な治療が重要
  • エリスロマイシンによる治療が確立されてから、5年生存率は90%以上を見込める
  • 肺炎を起こしやすいので、発熱時や呼吸困難時、痰が著しく増える場合には速やかにかかりつけ医を受診すべきである
  • 気管支からの出血(喀血)が頻回の場合には、カテーテル治療、外科手術、気管支鏡による治療などが考慮される

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びまん性汎細気管支炎(DPB)に関わるからだの部位