かわさきびょう
川崎病
小児に起こる全身の血管炎により、発熱・発疹・冠動脈病変など様々な症状を引き起こす
18人の医師がチェック 163回の改訂 最終更新: 2023.11.02

Beta 川崎病のQ&A

    川崎病とはどのような病気ですか。

    川崎病では5日以上続く発熱、唇の赤み、手足の赤みとむくみ、首のリンパ節の腫れ、湿疹が出現します。詳しい原因はいまだにわかっていません。川崎病は1967年川崎富作先生によって発見されたため、川崎病といいます。治療を行うことで改善しますが、まれに心臓の血管に後遺症を残してしまうことがあり注意が必要です。

    川崎病は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    2013年時点、日本全国で1万3917人の患者数報告があります。人口10万人に対し200人弱程度の有病率です。1歳前後が好発年齢で、4歳以下の乳幼児で全体の80%を占めます。患者数は年々増加傾向にあります。

    川崎病はどのようにして起こりますか。

    川崎病は全身の血管に炎症が起こりる事で症状が出現します。ですので、頭から足まで全身に症状が出現するのです。これが起こる原因は、免疫の異常、感染症、遺伝子など様々な研究が進められていますが、いまだ確定的なものは判明していません。

    川崎病は遺伝しますか。

    日本人に多く、親子、兄弟での発症があり、何らかの遺伝的要因があると考えられています。

    川崎病は、どんな症状がでるのですか?

    主要症状は以下の通りです。

    ・5日以上持続する発熱
    ・目の充血
    ・唇の赤み、舌の赤みやぼつぼつができる
    ・首のリンパ節の腫れ、
    ・手や足の赤みとむくみ
    ・湿疹
    これらのうち4つ以上出現すると診断されます。その他、主要症状には含まれませんが、下痢、嘔吐、BCG接種部位の赤みなど全身に症状が出現します。急性期を過ぎると、手足の指先の皮がむけてきます。これを膜様落屑(まくようらくせつ)とよびます。

    川崎病の、合併症について教えて下さい。

    川崎病で最も注意すべき合併症が心臓の冠動脈瘤です。急性期には約10%程度の割合で起こります。心臓は全身に血液を送る臓器ですが、その心臓自体に血液を送る血管を冠動脈と言います。冠動脈の一部が拡張し、その後、瘤となる事があります。これは川崎病の発症7-10日目頃に起こります。動脈瘤が後遺症として残ると後々心筋梗塞や狭心症の原因となり、突然死を起こす可能性があります。冠動脈が拡張してもその後改善する場合がほとんどですが、約1%程度動脈瘤が残存し後遺症を残します。

    川崎病は、どのように診断するのですか?

    主要症状5つのうち4つ以上満たす場合川崎病と診断されます。4つ満たさず、冠動脈瘤を認める場合もあり、これを不全型川崎病といいます。冠動脈の有無は心臓エコー検査で診断する事ができます。

    川崎病の治療法について教えて下さい。

    第一選択は、免疫ガンマグロブリンの使用です。点滴で投与します。これにより冠動脈瘤の出現を多いに抑える事ができます。また、これに加え、アスピリンという内服薬を2か月程度内服します。 しかし、15%程度この治療に反応しない場合があります。そういった場合は再度ガンマグロブリンを投与したり、ステロイド、免疫抑制薬、血漿交換を行う事があります。

    川崎病では入院が必要ですか?

    川崎病の治療は入院が必要です。点滴の治療を行い、症状が治まるか、冠動脈瘤ができていないかなどをチェックします。スムーズに治療がすすめば7日-10日程度で退院できます。しかし、なかなか症状が改善しない場合はそれ以上入院する事もあります。

    川崎病に関して、退院後はどのような診療を行いますか。

    退院後もアスピリンを飲みます。その後症状の再発がないか、冠動脈瘤がないかを確認し問題なければ、2か月程度で内服を中止します。その後も数年にわたり冠動脈瘤のチェックを行います。

    川崎病に関して、動脈瘤ができた場合の治療はどうなりますか。

    血液をサラサラにする薬を継続して飲みます。また、心臓カテーテル検査を行い動脈瘤の大きさ、位置などを確認します。心臓バイパス手術を行う事もあります。

    川崎病に関して、日常生活で気を付けることはありますか。

    アスピリンを内服中はインフルエンザ、水痘に注意してください。これらに罹患中にアスピリンを内服するとライ脳症という病気になる恐れがあります。罹患した場合、周囲で流行がある場合は他の薬に変更する事があります。また、心臓の後遺症がなければ特に日常生活に制限はありませんが、ある場合は運動制限がある事があります。

    川崎病に関して、後々何か症状がでてくることがありますか。

    川崎病は発見されて50年程度の病気です。そのため、川崎病患者の方々が成人になった後の情報がまだ集まっておらず、どのような経過を歩むのかまだ分かっていないことが依然多い病気です。