じゃくねんせいとくはつせいかんせつえん(じゃくねんせいかんせつりうまち)
若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)
若年者に発症することの多い、関節炎の一種
6人の医師がチェック 124回の改訂 最終更新: 2017.12.06

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)の基礎知識

POINT 若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)とは

若年性特発性関節炎は16歳未満に発症する全身の関節の痛みや腫れが持続する病気です。高熱が出たり、胸に赤い発疹が出ることもあります。関節の腫れや痛みは持続することで関節の変形を起こします。診断のために血液検査、X線、MRI、関節超音波などの検査を行います。免疫の異常が原因と考えられており、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤などの薬剤を使用します。気になる方はは小児科、リウマチ内科、膠原病内科を受診してください。

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)について

  • 若年者に発症することの多い、関節炎の一種
    • 白血球による異常な免疫反応が原因で、関節内に炎症が生じる
  • 発症率は10万人に対し1人
    • 16歳未満で発症することが多い
    • 4-5歳の女児に特に多い
  • 分類
    • 全身に症状が生じる場合と、いくつかの関節のみに生じる場合がある
    • 分類としては、全身型、多関節型、少関節型の3つに分かれる
      • 全身型:心臓などの臓器にも障害が出たもの
      • 多関節型:5関節以上に障害が生じたもの
      • 少関節型:4関節以下に障害が生じたもの

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)の症状

  • 主な症状
    • 発熱
    • 手のこわばり:朝起きた時に、手が動かしづらい
    • 関節の腫れと痛み:複数の関節が痛くなったり、起床時に症状が強かったりする
    • 胸や腹部に現れる赤い発疹
  • 全身型では、心内膜炎(心臓内部に炎症が生じること)を発症することもある

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)の検査・診断

  • 血液検査
    • 炎症の有無と程度を確認する
  • 画像検査(関節のレントゲンMRI、関節超音波)
    • 関節やリンパ節などに炎症が起こっていないかを確認する
  • 全身型の場合には他の自己免疫疾患と区別するため、特殊な血液検査などを含め、様々な検査が行われる

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)の治療法

  • 薬物療法:炎症を抑えるための薬を使用する
    • ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs
    • ステロイド薬
    • 免疫抑制薬
    • 生物学的製剤(アクテムラ、エンブレル、ヒュミラ)
  • リハビリテーション
    • 関節が固まらないようにするためや、筋力をつけるなど関節を守るための運動を行う
    • 日常生活で関節に負担がかかりにくい動き方を練習する
  • 長期的な経過
    • 炎症が起きる時期と起きない時期を繰り返しながら、徐々に関節の破壊と変形が進行していく
    • 長期にわたって痛みが続くため、周囲のサポートが重要

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)に関連する治療薬

トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)

  • 炎症をおこす要因となるIL-6の働きを抑えることで関節の腫れや痛みなどを改善し、骨などの損傷を防ぐ薬
    • 関節リウマチでは免疫の異常により炎症反応がおき関節の腫れなどがあらわれ、その状態が続くと骨が壊され変形する
    • 炎症をおこす要因となるインターロイキン6(IL-6)という物質があり、IL-6受容体に結合してその作用をあらわす
    • 本剤はIL-6受容体を阻害しIL-6に由来する過剰な炎症反応などを抑える作用をあらわす
  • 本剤(トシリズマブ)は関節リウマチや若年性特発性関節炎のほか、キャッスルマン病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎などの治療に使われる場合もある(剤形によって使われる疾患が異なる場合もある)
トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)についてもっと詳しく

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)の経過と病院探しのポイント

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)が心配な方

若年性特発性関節炎では、手足の関節に生じる腫れや痛みと発熱が特徴的です。体の複数の関節が痛くなったり、朝起きた時に症状が強かったりします。

ご自身やお子さんが若年性特発性関節炎でないかと心配になった時、普段かかっている小児科のかかりつけがあれば、まず一度そちらを受診することをお勧めします。一回の診察や検査だけで診断がつく病気ではなく、ある程度の時間をかけてその間の経過を確認し、また血液検査、関節の画像検査(レントゲン、MRI、関節超音波)の結果を参考にしながら診断をしていくことになります。

一般的な小児科の病気の中では頻度が高くないものですので、最初の受診ではまず若年性特発性関節炎以外のよくある病気ではないことを確認した後に、必要に応じて小児科の中でも関節炎や膠原病といった病気を専門とする医療機関に紹介してくれるはずです。小児膠原病科、といったような科もあるのですが全国的にとても少ないため、小児科医の中でも膠原病を特に専門としている医師を自力で探すのはなかなか困難です。しかし同じ小児科の医師の間であれば、周囲でどの病院がどのような病気を専門としているかを把握し合っていることが多いので、専門の医師を紹介してもらうという意味でまずはかかりつけの小児科クリニックを受診するのが良いでしょう。

その際には、最初にかかったクリニックから診療情報提供書(紹介状)をもらった上で専門の医療機関を受診することをお勧めします。若年性特発性関節炎を診断する上で普段の様子やその他の病気の有無、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。

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若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)でお困りの方

若年性特発性関節炎の治療としては、内服薬、注射薬による治療が主体となります。治療によって症状を改善させることはできるのですが、逆に完治が簡単に望める病気でもありません(症状が取れたり、薬の内服が必要なくなったりすることはあります)ので、継続的に通院は続ける必要があります。

若年性特発性関節炎は患者数も少なく、治療がまだ確立されていない病気の一つです。専門としている医師もあまり多くありませんので、小児科の医師で膠原病診療を専門としている医師のいる病院、膠原病センターやリウマチセンターを開設している病院、大学病院などの大きな病院などの受診が必要になることが多いです。

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