Beta 鎖骨骨折のQ&A
鎖骨骨折の原因、メカニズムについて教えて下さい。
腕を伸ばした状態で転倒したり、肩を下にして転倒したりした場合の介達外力(間接的な外力)で生じることが多いですが、鎖骨部に直達外力(直接的な外力)が加わることでも生じます。どの年齢層においても頻度の高い骨折です。
鎖骨骨折は、どんな症状で発症するのですか?
転倒後に肩の痛みを訴え病院を受診される方が多いです。腕を支えると症状が落ち着くことが多いようです。
鎖骨骨折の、その他の症状について教えて下さい。
鎖骨の近くには腕に行く血管や神経が走っています。骨折部のズレが大きい場合、まれにこれらの血管・神経がダメージを受けることで、血流が悪くなったり、神経が麻痺したりすることがあります。肋骨骨折を合併することがあり、脇腹に痛みを訴える方もいます。
鎖骨骨折は、どのように診断するのですか?
外傷の病歴と、鎖骨部の変形や痛みから診断は比較的簡単です。ほとんどの場合はレントゲン検査で診断が確定します。骨折の詳しい状態を確認するにはCT検査も有用です。
鎖骨骨折と診断が紛らわしい病気はありますか?
肩周囲の骨折や脱臼などとの区別が必要です。特に、肩鎖関節脱臼は鎖骨部の変形や疼痛が生じるため診察だけでは診断が困難な場合があります。
鎖骨骨折の治療法について教えて下さい。
一般的に保存治療では経過が良好であり、特に鎖骨中央部での骨折では鎖骨バンドなどを使った保存治療が行われます。開放骨折、神経血管損傷、多発骨折に至っている場合、ズレが大きく皮膚を破りそうな場合などは手術治療が行われます。 骨折部の粉砕が強い場合には偽関節(骨がくっつかない状態)になる可能性が高く、手術も検討されます。しかし、偽関節になったからといって必ずしも肩の機能に制限が出るわけではないので、状況に応じて治療を検討することになります。 また、鎖骨遠位端骨折(より肩に近い部位での骨折)で靱帯損傷も合併している場合も手術が行われることが多いです。
鎖骨骨折の保存治療について教えてください。
前述の鎖骨バンドや三角巾を装着することで鎖骨のズレを予防し、4−6週間はあまり肩を動かさないようにして治療します。徐々に骨が動かなくなってくるので、レントゲンで骨の付きを確認しながら少しずつ肩を動かすリハビリを行っていきます。最終的には3−6ヶ月程度で骨がしっかりくっつくことが多いです。
鎖骨骨折の手術治療について教えてください。
骨折の型に応じて、ピンニング(ワイヤーでの固定)やピンニングとケーブルでの固定、プレート固定などが選択されます。術者によって得意な治療法も異なるため、十分に説明を聞いて納得のいく治療法を相談してください。
鎖骨骨折では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?
保存治療では必ずしも入院は必要ではありません。手術の場合は全身麻酔で手術が行われる場合が多く、入院治療が一般的です。病院によって入院期間はそれぞれですので、主治医と相談してください。
また、通院期間については骨がしっかりくっついたことを確認できるまで、すなわち3−6ヶ月は必要と思われます。骨がくっついていないのに無理をすると、再骨折が生じることもあるため、くれぐれも無理は禁物です。自己判断で通院を中断することもオススメできません。
鎖骨骨折の治療の際に、手術で入れた金属は抜いたほうがいいですか?
鎖骨の部分は皮膚が薄く、入れた金属が皮膚を刺激して症状が出やすいため、金属を抜く人が多いです。ただし、金属を抜いた後に再骨折が起きる場合もあるため、特に症状がない場合には必ずしも抜く必要はありません。金属を抜く場合にも手術が必要ですので、主治医と相談して決めるのが良いかと思います。