とうこつえんいたんこっせつ
橈骨遠位端骨折
手首の骨折の一つ。高齢者が手をついた時に起こることが多い
9人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2022.03.22

Beta 橈骨遠位端骨折のQ&A

    橈骨遠位端骨折の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    橈骨遠位端骨折の原因は、手をついて転んだり、自転車やバイクに乗っていて転ぶなど、何らかの強い衝撃が前腕(腕のうち肘から手の部分)にかかることです。前腕には、橈骨と尺骨と呼ばれる太い二本の骨がありますが、外傷による骨折では、親指側にある橈骨の遠位(手側)が折れてしまうことが多いと知られています。

    橈骨遠位端骨折は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    年間人口10万人あたり100-130人程度と言われています。橈骨遠位端骨折は、年齢や性別によって発症頻度が異なります。女性では、50歳代後半から高くなり、60-70歳代で人口10万人あたり300-400人に及ぶと言われています。

    橈骨遠位端骨折の中の、コーレス骨折とスミス骨折の違いについて教えて下さい。

    橈骨遠位端骨折には、骨折により骨がずれた位置によって2つの種類(コーレス骨折とスミス骨折)に分けられます。

    コーレス骨折とは、橈骨(前腕の親指側の骨)のかけらが手の甲側にずれることで、手がフォークを伏せておいたように変形した状態をいいます。手の平をついた状態で手に衝撃がかかったときに多く見られます。

    スミス骨折は、コーレス骨折とは逆に、橈骨のかけらが手の平側にずれることで、コーレス骨折とは逆の変形を生じた場合をさします。これは、手の甲をついた状態で手に衝撃がかかったときに多く見られます。

    橈骨遠位端骨折が発症しやすくなる、または橈骨遠位端骨折の人が他に注意すべき病気はありますか?

    橈骨遠位端骨折は、衝撃によって骨が折れてしまうことが多いため、骨粗しょう症(骨の密度が小さくなり、骨折しやすくなった状態)の人が生じやすい疾患です。

    橈骨遠位端骨折は、どんな症状で発症するのですか?

    手首への強い痛みと腫れが生じます。手に受けた衝撃の強さや手首の関節の向きによって異なりますが、骨のズレに伴う手の変形おこります。折れた骨や腫れによって、他の神経が圧迫され、指がしびれることもあります。

    橈骨遠位端骨折は、どのように診断するのですか?

    レントゲンを用いて、骨折の具合を確認することで診断します。骨の折れ方や程度を確認し、どのような治療を行うかを検討します。

    橈骨遠位端骨折の治療法について教えて下さい。

    腕の痛みを麻酔などでとった後、骨折によりずれてしまった骨を元の位置に戻します。元に戻そうとする力を加えなくても、骨が正常な位置にある場合、そのままギプスにて固定します。

    骨がずれてしまう場合には、手術が必要です。手術には、腕の外側から鋼線を刺して骨折部を固定する方法(経皮鋼線刺入法)や骨折した部分を開き、プレートをあてて骨を固定する(ロッキングプレート固定術)などがあります。

    橈骨遠位端骨折後でも手を動かして良いですか?

    ギプスを付けた状態でも、折れた部分以外の関節を動かすことは重要です。ギプスをつけ、固定部分以外の関節を動かさないことで、手指の関節が硬く曲がらなくなってしまう状態(拘縮)になる可能性があります。そのため、できるだけ早くから固定部分以外の関節の運動を行うことが重要です。

    ギプスが外れたら、固定部を含めた手を使うことが可能となります。リハビリテーションや、医師や療法士の指示のもと行う自宅でのトレーニングを行う方が、より回復が早いことが知られています。

    橈骨遠位端骨折はどのくらいで回復しますか?

    手首の関節の関節角度が元に戻るまで、3-6ヵ月程度要します。握力は、約半年で70-90%回復しますが、正常に戻るまでには、1年から10年近く要することもあります。骨折により骨が変形してしまった場合は、正常に回復することが困難なこともあります。