褥瘡(床ずれ)の症状:赤み、水ぶくれ、えぐれ
できはじめの褥瘡では皮膚赤みや水ぶくれがみられます。時間が経過すると、皮膚が浅くえぐれて赤くなったり、深くえぐれて黒くなったりします。ここでは、褥瘡の症状について、
目次
1. 褥瘡(床ずれ)のステージ分類と症状:急性期と慢性期
褥瘡はできてから経過した時間によって「急性期褥瘡」と「慢性期褥瘡」に分けられます。それぞれで、症状や治療が異なります。
急性期褥瘡
褥瘡ができて1-3週間を「急性期褥瘡」と呼びます。皮膚の赤みや、あざ(
慢性期褥瘡
1-3週間経過して治らない状態を「慢性期褥瘡」と呼びます。症状の変化があまり起こらなくなることが診断の目安です。
慢性期褥瘡は、褥瘡の深さによって、「浅い褥瘡」と「深い褥瘡」に分けられます。
【慢性期褥瘡の分類】
- 浅い褥瘡:真皮までの褥瘡
- 深い褥瘡:真皮より深い位置に達している褥瘡
皮膚の構造は浅い部分から表皮・真皮・皮下組織になっていて、真皮までが浅い褥瘡、真皮より深い部分までえぐれが広がっていると深い褥瘡と表現されます。浅い褥瘡では新しく皮膚を作る元となる細胞や毛根が残っているので、比較的短期間で
2. 初期の褥瘡(急性期褥瘡)でよくある症状
褥瘡ができて1-3週間の初期段階を急性期褥瘡と呼びます。この段階では次のようないろいろな症状が起きたり治ったりを繰り返します。
【初期の褥瘡(急性期褥瘡)の主な症状】
- 皮膚が赤くなる(
発赤 ) - 皮膚が紫色になる(紫斑)
- 水ぶくれができる(
水疱 ) - 皮膚がただれる、浅くえぐれる(
びらん 、浅い潰瘍 ) - 痛みがある(
疼痛 )
急性期褥瘡では皮膚の
次に症状を一つひとつ説明していきます。
発赤(ほっせき):皮膚が赤くなる
皮膚の赤みはほとんどの褥瘡に見られる症状です。同じ部分に体重がかかったりすると皮膚が赤くなるのはよく知られた現象ですが、通常は圧迫をやめれば皮膚の赤みは改善します。しかし、褥瘡ではその赤みは消えません。
皮膚の赤くなった部分が褥瘡かどうかの見極めには次の2つの方法が役立ちます。
- 方法①:赤い部分を指で3秒ほど押して話した時に白く変化するか観察する
- 方法②:姿勢を変えて赤い部分の圧迫をなくしてから30分後に、皮膚の赤かった部分が通常の皮膚の色に戻っているか観察する
赤みが残っている部分は褥瘡の初期段階の可能性があります。褥瘡では早い段階での対処が重要です。褥瘡かもしれないと思ったら、お医者さんや看護師さんに相談してみてください。
紫斑(しはん)・出血斑:皮膚が紫色になる
褥瘡が進行すると皮膚が紫色や茶色に見えることがあります。これは、皮膚の中で出血を起こしている現れです。また、皮膚の変色部に、血を含んだ水ぶくれを伴うこともあります。
皮膚が紫色や茶色になっている場合は要注意です。皮膚の深い部分まで褥瘡の影響が及んでいる可能性があるからです。加えて、次のような症状をともなう場合にはより注意が必要です。
【紫斑のある人に注意して欲しい症状】
- 痛みが強い
- 硬い
- 傷つきやすい
- ふやけている
- 水ぶくれがある
- 血を含んだ水ぶくれがある
- 熱い
- 冷たい
このような症状があると、見た目より褥瘡が深く、急激に症状が進行して悪化することがあります。紫斑や出血斑をみつけた場合は、注意深く観察するとともに、お医者さんへの相談をためらわないようにしてください。
水疱(すいほう):水ぶくれができる
褥瘡の初期段階では赤みを帯びた皮膚の部分に水ぶくれができます。傷から滲んだ液体が皮膚の中に溜まって膨れた状態です。自然に破れてしまうこともありますが、あえて破る必要はありません。
びらん・浅い潰瘍:皮膚がただれる・浅くえぐれる
皮膚が浅くただれた状態をびらんと呼び、より深くまでただれたものを潰瘍と呼びます。少し詳しく説明すると、皮膚は浅い部分から表皮、真皮、皮下組織という構造になっています。びらんは表皮までが傷ついたもので、潰瘍はもっと深く真皮以下の組織まで傷ついたものです。
疼痛:痛みがある
進行した褥瘡は痛みを伴わないことがあるのですが、できたばかりの褥瘡は痛みを伴うことがあります。初期では褥瘡の部分に炎症を起こす細胞が多く集まるのが、痛みの原因だと考えられています。
3. 進行した褥瘡(慢性期褥瘡)でよくある症状
褥瘡ができて1-3週間経過すると症状の急な変化があまり起こらなくなり、少しずつ慢性期褥瘡と呼ばれる状態に変化していきます。慢性期褥瘡では次のような症状がみられます。
【慢性期褥瘡の主な症状】
- 皮膚が深くえぐれる(潰瘍)
- 皮膚がじゅくじゅくした液体がでる(
滲出液 ) - 皮膚が一部死んでしまう(
壊死 )
それぞれの症状について説明します。
潰瘍:皮膚がえぐれる
皮膚の構造は浅い部分から表皮、真皮、皮下組織という層構造をしています。潰瘍は表皮だけでなく真皮以下の部分まで傷ついたものを指します。
慢性化した褥瘡を深さによって、「浅い褥瘡」と「深い褥瘡」に分けることがあります。真皮までが浅い褥瘡で、真皮より深い部分までえぐれが広がっているのが深い褥瘡です。さらに進行すると、えぐれが骨や筋肉に達することもあります。
滲出液:皮膚がじゅくじゅくする
擦り傷を負ってしまった後、傷口から透明の液体が出たのを目にしたことがあるかと思います。この液体が「滲出液」です。褥瘡の周囲に滲出液が溜まるとじゅくじゅくします。不快な症状の原因にはなりますが、身体にとって悪いものではなく傷の修復・皮膚の再生を促す成分が含まれています。滲出液のメリットを生かすため、治療では適切な湿潤環境を保つようにします。
壊死:皮膚が一部死んでしまう
身体を構成する細胞が死滅し、その機能が失われることを「壊死(えし)」といいます。壊死は酸素や栄養の供給が著しく低下することによって起こる現象です。褥瘡では皮膚の一部分の血流が低下し、酸素や栄養が不足するので、壊死を招くことがあります。壊死した部分は乾燥して暗紫色から黒色へ変化したり、じゅくじゅくした状態になったりします。
4. 褥瘡(床ずれ)ができやすい部位:お尻、仙骨、尾骨、くるぶしなど
骨が出っ張っていて体重がかかりやすい部位に褥瘡はできやすいです。褥瘡のできる部位は姿勢によって異なります。
寝たきりの人の褥瘡はどこにできる?
寝たきりの人といっても、よくとる姿勢が一人ひとりで異なるので、姿勢ごとに褥瘡ができやすい部位が異なります。寝てる時に多い姿勢は仰向けと横向きなので、それぞれで、褥瘡ができやすい部位をまとめると次の通りになります。
【褥瘡ができやすい部位】
- 仰向けで褥瘡ができやすい部位
- 臀部:お尻の部分
- 仙骨部:
背骨 の一番お尻に近い骨 - 背中
- かかと
- 後頭部
- 横向きで褥瘡ができやすい部位
- 耳
- 肩
- ひじ
- 腸骨:腰骨の出っ張っている部分
- ひざ
- くるぶし

介護を受けている人がどの姿勢をとりがちなのかをまず把握してください。そして、上記の部分を重点的に観察すると、褥瘡の早期発見がしやすくなります。皮膚が赤くなったり痛みを訴えている人は、かかりつけの医療機関に相談してみてください。
車椅子の人の褥瘡はどこにできる?
車椅子に長時間乗る人は同じ部位が圧迫されるので、褥瘡ができやすくなります。具体的には次のような部位に褥瘡ができやすいです。
【車椅子の人に褥瘡ができやすい部位】
- 坐骨:座った時にあたるお尻の骨
- 尾骨:背骨を足側にたどったところのお尻の骨
- 背中
自力で動ける人や皮膚の感覚に異常がない人は、同じ姿勢で座っていると、同じ部分が圧迫されて痛くなるので、適宜体重を移動させることができ、褥瘡ができることは多くはありません。一方で、痛みの感覚が弱まっている人や、身体を動かすのが不自由な人では、姿勢を変えないため褥瘡ができやすくなります。
褥瘡を予防するための座り方のポイントは、上半身と太もも、膝の裏とふくらはぎ、すねと足の甲がいずれも90度になるように座ることです。接触面が広くなり、体重を分散してかけることができるので、褥瘡予防に効果的です。