じょくそう(とこずれ)
褥瘡(床ずれ)
布団やベッドなどと触れる部分の皮膚が、長い間圧迫されづづけることで血流が不足して、皮膚や筋肉などの組織が壊死すること
14人の医師がチェック 165回の改訂 最終更新: 2024.04.25

褥瘡(床ずれ)の検査や分類など

褥瘡の診断には診察が欠かせません。褥瘡であった場合には、その部分をよく観察して重症度を判定します。褥瘡の状態把握は、治療を選択するうえで重要です。ここでは褥瘡に関する問診や検査、分類について説明します。

1. 問診と身体診察

褥瘡は身体診察で診断がつきます。同時に、褥瘡の要因を調べるために、お医者さんからいくつか質問があります。

【問診の例】

  • 症状に関係した質問
    • 症状がどこにあるか
    • どのような症状があるか
    • いつから症状があるか
    • 以前も褥瘡になったことがあるか
  • 原因に関係した質問
    • 自分でどのくらい動けるか
    • 動かしにくい身体の部位はどこか
    • 身体が動かしにくくなったのはいつからか
    • ふだんはどのような姿勢で生活しているか
  • 治療に関係した質問
    • 以前かかった病気や持病があるか
    • アレルギーはあるか
    • 介護、看護は誰が行っているか
    • 要介護度はどのくらいか 

身体診察では皮膚の色の変化を確認します。診察範囲は褥瘡がある部分だけにとどまらず全身に及びます。重症な褥瘡ではポケットの有無や深さを測定するために、褥瘡部分に綿棒やペンライトを入れて調べます。ポケットとは褥瘡の周りの皮膚の下に広がった空間のことです。ポケットがあると、見た目の褥瘡よりも広い範囲に褥瘡が及んでいることとなり、治りにくいことが多いです。

2. 超音波検査(エコー検査)

超音波検査は人間の耳には聞こえない音波を利用した検査です。観察したい部分にゼリーをつけて、プローベと呼ばれる端子(たんし)をあてることで、体内を観察することができます。痛みを伴わず簡単に受けられ、被ばくをしないという利点があります。

超音波検査では褥瘡の深さや広がりを調べることができます。表面からの観察では広がりがわかりにくい深部組織損傷と呼ばれるタイプの褥瘡や、褥瘡のポケットの大きさを調べるのに有効です。

3. 褥瘡の重症度を評価する分類:ポケット、大きさなどを評価

褥瘡の治療は多くの医療職が協力して行います。そのため、治療に関わるために病状を把握する共通の尺度が必要になります。

世界的に広く使われている褥瘡の評価方法として、米国とヨーロッパの褥瘡諮問委員会が作成したステージ分類がありますが、日本では日本褥瘡学会が作成したDESIGN-R(デザインR)という分類方法が使われることが多いです。

家族がみずから褥瘡の重症度をつける機会は多くはないと思いますが、治療をともに進めていく中で参考になることもあるので、次に代表的な分類方法を説明します。

国際的なステージ分類:NPUAP/EPUAPの褥瘡分類

世界的に広く用いられている分類は、2009年に米国と欧州で合同で作られたものです。NPUAPは米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel )、EPUAPは欧州褥瘡諮問委員会(European Pressure Ulcer Advisory Panel)です。

褥瘡(床ずれ)のステージ、重症度

  • カテゴリー/ステージ I:消えない発赤
    • 押した指を離したり、圧迫を除去しても消えない皮膚の赤みで、明らかな傷はない状態。通常、骨の出っ張った部分のみにできる
    • 皮膚の色が紫色に変化したり、熱をもったり、むくんだり、硬くなったり、痛くなったりすることもある
  • カテゴリー/ステージ II:皮膚の部分欠損または水ほう
    • 皮膚に壊死組織がついておらず、褥瘡は薄い赤色の浅い潰瘍になっている
    • 皮膚の下にある真皮という部分が一部欠損した状態
    • 水ぶくれを伴うことがある
  • カテゴリー/ステージ III:皮膚の全層欠損(脂肪層の露出)
    • 皮膚の組織が全部なくなっている状態
    • 皮下脂肪は見えるが、骨、腱、筋肉は見えない
    • 黄色の壊死組織が付着していることがある
    • 皮膚の深部に一部深くなっているポケットや孔を伴うことがある
  • カテゴリー/ステージ IV:組織の全層欠損
    • 骨、腱、筋肉を覆う皮膚の組織が全てなくなってしまっている状態
    • 骨や筋肉を目で確認でき、直接触れることができる
    • 黄色や黒色の壊死組織が褥瘡に付着していることがある
    • 一部深くなった褥瘡がポケットと呼ばれる構造になっていたり、瘻孔を伴うことが多い

この分類では、褥瘡がどのくらいの深さまで広がっているかをおおまかに評価できます。カテゴリー/ステージ IとIIが浅い褥瘡、III以降が深い褥瘡です。この深さの違いで褥瘡の治りやすさが異なります。浅い潰瘍では皮膚が再生するために必要な細胞や毛根が残っているため、1か月以内で治ることもありますが、深い褥瘡は皮膚の再生に必要な細胞が褥瘡の縁にしか残っておらず、皮膚の再生が起こりにくいので、治癒に数ヶ月以上を要します。

状態判定のためのスケール:DESIGN-R(デザインR)

日本褥瘡学会が作った分類です。評価項目の頭文字をとってDESIGN-Rと呼ばれています。Rは下にありませんがratingでスコアリングの意味です。

  • D:Depth(深さ)
  • E:Exudate(滲出液
  • S:Size(大きさ)
  • I:Inflammation/Infection(炎症/感染)
  • G:Granulation(肉芽組織)
  • N:Necrotic tissue(壊死組織)

それぞれの重症度に応じて点数がつけられ、点数が高いほうが重症です。さらにポケットがある場合にはPをつけます。治療の過程での評価にも使われます。詳しくは下記のリンク先を参考にしてください。

参考:日本褥瘡学会ホームページ「褥瘡評価ツール DESIGN-R」、褥瘡診療ガイドライン(第3版)