はくないしょう
白内障
眼の焦点をあわせるためのレンズ(水晶体)が濁る病気。視野が白くかすんだり、光をまぶしく感じる
7人の医師がチェック 127回の改訂 最終更新: 2018.07.12

Beta 白内障のQ&A

    白内障の原因は何ですか?

    白内障は、眼の中にあるカメラのレンズに相当する部分(水晶体)が濁ってくることにより視力が低下するものです。水晶体は生まれたときには透明ですが、加齢などに伴いだんだんと白く濁り、さらに進んでくると、茶色く濁ってきます。濁る原因は、加齢が一番多いですが、その他にも全身の病気や眼のケガ・病気、アトピーなど、加齢以外の原因に伴って起こる場合もあります。

    白内障では、どのような症状が出るのですか?

    眼がかすんで霧がかかったように見える、ものがぶれて二重に見える、強い光が視界に入ると他のものが見えづらい、暗いところでものが見えづらい、などの症状が出ます。レンズの役割をしている水晶体の厚みが増してくることで、近視がひどくなったり、遠視だった人の遠視が治ったりすることもあります。

    白内障を薬で治すことはできますか?

    白内障治療用の目薬がありますが、この薬で進行した白内障を治すことはできません。ごくごく初期の白内障に対しては、進行を遅らせる効果があると報告されています。

    しかしながら、気になる自覚症状が出てきている時点では、既に効果がある初期段階を過ぎてしまっていることが多い点が、難しいところです。根本的に治療をしようと思うと、やはり薬剤だけに頼るのは不十分であり、手術が必要となります。

    白内障は、どのように診断するのですか?

    白内障の診断のために、血液検査やCT検査などを受ける必要はありません。眼科で一般的に使用されている器具(細隙灯顕微鏡)を用いて眼の様子を観察することで診断がつきます。細隙灯顕微鏡は、診察室内で器具の前に顔を乗せて、光を眼に当てながら向かいから医師が眼を覗き込む形のものです。多少のまぶしさはありますが、痛みを伴う検査ではありません。

    白内障は、眼科での視力検査の他、目薬で瞳孔(カメラでいうと絞りにあたる部分)を広げて、眼の奥まで検査をする必要があります。瞳孔を広げる目薬を使うと、その後薬の効果が切れるまで数時間は眩しい・見づらい状態が続きますので、車や自転車の運転はできません。ですので、検査を希望して眼科に行く場合には、帰りに車や自転車を運転できない可能性も考えておく必要があります。

    白内障に対してどんな手術がありますか?

    ◎白内障手術とは 白内障によって濁った水晶体を取り除き、替わりに眼内レンズを挿入する手術を行います。 挿入するレンズは大きく分けて2種類あります。

    ◎単焦点眼内レンズ 焦点が1つのレンズです。

    ・メリット 多焦点眼内レンズに比べ、暗い所での見え方がはっきりしています。 公的保険の適応なので、多焦点眼内レンズと比べ安価で治療が可能です。

    ・デメリット 1つの距離にしかピントが合わないため、遠くも近くも見えるというわけではありません。 遠くにピントを合わせると手元を見るときには老眼鏡が必要になる一方で、近くにピントを合わせると遠くを見るときには眼鏡やコンタクトレンズが必要になります。

    ◎多焦点眼内レンズ 焦点が複数あるレンズです。

    ・メリット 遠くも近くもある程度メガネなしで見えます。

    ・デメリット 辞書などの小さい文字などを見る際には、老眼鏡が必要になります。 レンズの種類によっては、夜間や暗い場所で街灯や車のライトがまぶしく感じたりにじんで見えたりする場合があります。 自由診療のため医療費が高額になります。※

    ※一部のレンズが先進医療の対象となっており、対象レンズを使用した手術の場合は手術前後の診察などが公的保険の適応となります。先進医療とは、厚生労働大臣が保険適用外の先端的な医療技術と保険診療との併用を一定の条件を満たした施設のみに認める医療制度です。術前術後の診察等に保険が適応されるだけでなく、民間の生命保険の『先進医療特約』の対象となり、先進医療の技術に係る費用と同額が給付されます。

    実際に白内障の手術を受ける時の段取りが知りたい

    白内障手術は以下の流れで行います。

    ・術前検査

    ・手術

    ・術後健診

    ◎術前検査 他覚屈折度/角膜曲率半径測定、自覚視力検査(裸眼/矯正)、角膜形状(前面/後面)、角膜内皮細胞測定、眼軸長測定、眼圧検査、調整麻痺下屈折度検査、診察前眼部検査/眼底検査)

    ◎手術の流れ

    ・目薬タイプの麻酔を点眼し、レンズを挿入する入口を作るために強膜を切開します。(切開創は2.4mmと非常に小さいため縫う必要がなく、傷口は時間の経過とともに自然治癒します。)

    ・濁った水晶体を 超音波で吸い出します。

    ・切開した部分から折りたたんだレンズを挿入します。レンズは眼の中でゆっくりと自然に広がります。

    *片眼10分程度で終了しますが、もう一方の目は翌日以降に同様に手術を行います。

    ◎定期検診(翌日/1週間後/1か月後/6か月後/1年後、以降1毎年) 他覚屈折度/角膜曲率半径測定、自覚視力検査、角膜内皮細胞測定、診察(前眼部検査/眼底検査)

    ◎病院選びのポイント 白内障手術を多く行っている医療機関のほうが安心できます。 特に多焦点眼内レンズを選択した場合は、白内障手術後にレーシックなどを用いた微調整が可能な医療機関のほうが望ましいです。

    多焦点眼内レンズについて教えてください

    ◎多焦点眼内レンズとは 主に白内障治療で使用されるレンズです。 焦点が複数あり、遠くも近くも見えるようになるため、老眼の治療も可能です。

    ◎多焦点レンズのタイプ 多焦点眼内レンズは、主に「屈折型」と「回折型」に分けられます。

    ・「屈折型」 中心から同心円状に遠方、近方と異なる屈折力が交互に並んでいる構造で、特に遠方重視のレンズです。 回折型に比べて、夜間の見え方やハロー・グレア(光のにじみ)などの症状が出やすいと言われています。

    ・「回折型」 同心円上に階段状の段差を持つ構造で、目の中に入る光の屈折現象を利用して、遠方も近方も見やすくなるレンズです。

    ◎新しいレンズの登場 今までの多焦点眼内レンズは、主に焦点が2つ(近くと遠く、遠くと中間など)でしたが、近くと遠くに加えてその中間にも焦点が合うトリフォーカルレンズが開発されました。 トリフォーカルレンズは、遠くと近く・遠くと中間距離の2種類のバイフォーカル(2重焦点)レンズを組み合わせた二重構造になっています。

    フェムトセカンドレーザーとはどんなレーザーですか

    フェムト秒の単位でレーザーが照射されるシステムです。(1 フェムト秒は 1000 兆分の 1 秒) 近赤外線レーザーで、1000兆分の1秒単位という非常に短い時間でレーザーが照射される。

    パルス幅が短いことでとても弱いエネルギーで効果を発揮することができます。このレーザーは熱を発せず組織への侵襲がなく、光ディスラプション(光切断)と呼ばれるプロセスにより精密に組織を分離する。

    眼科領域ではこれまでにレーシックなどの屈折矯正手術に用いられていましたが、角膜手術に加えて白内障手術にも応用されています。

    白内障の手術について教えて下さい。

    白内障の治療の基本は、手術となります。

    濁った水晶体を取り除き、水晶体の代わりの役割をしてくれる人工のレンズ(眼内レンズ)を入れるための手術です。手術は、現在では特別な事情のない場合、眼だけの麻酔(局所麻酔)で行いますので、意識はある状態で行う手術となります。

     

    中には「起きていても心配なだけだから、麻酔で寝ている間に済ませてください」という希望の患者さんもいますが、全身麻酔は大きなリスクを伴う医学的処置です。麻酔によって完全に呼吸が止まってしまうため、肺の近くまで管を通して、人工呼吸を行います。また、麻酔の深さが深すぎると血圧が低下して全身の臓器に大きな負担がかかったり、そもそも麻酔薬にも副作用があり、極めて低いですが一定の割合で、命に関わる副作用が出ることがあります。

    このような理由から、基本的には全身麻酔(眠ってしまう麻酔)ではなく、意識のある局所麻酔で白内障の手術は行います。

    白内障はどのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    白内障は、加齢に伴ってすべての方に生じてくるものです。進行の早さや程度は個人差があり、そのため、60代で手術を必要とする方から、90歳以上になっても手術を必要としない方まで、様々なケースがあります。

    白内障が重症化するとどのような症状が起こりますか?

    進行すると霞みがかった見え方がひどくなり、視力が低下してきます。日常生活に困難を感じる程度まで進行した場合には、手術について主治医と相談することが大切です。

    白内障の、その他の検査について教えてください。

    白内障によって視力が低下しているだけでなく、視力を低下させるような他の病気を合併している可能性もあり得ますので、そのような病気がないか一通りの検査を行います。

    白内障の手術では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    手術は、入院せずに外来通院のみで行うことも可能です。ただし外来通院で手術を受ける場合でも、手術翌日の診察を受けるため、連日通院する必要があります。入院手術も施設によっては行っています。手術後しばらくは、主治医の指示に従い、通院して定期検査を受ける必要があります。

    白内障の眼内レンズとはどんなものですか?眼に入れて大丈夫なのですか?

    眼内レンズは柔らかい素材でできたごく小さいものですので、眼の中でガラスのように割れたりすることはありません。また、金属ではないので、手術を受けた後にMRI(強い磁力を発する)を受けても問題ありません。

    また耐用性についてですが、長期間使用しても古くなって濁ったりすることのないように作られていますので、コンタクトレンズのように定期的に交換する必要はありません。

    白内障が発症しやすくなる、または白内障の人が他に注意すべき病気はありますか?

    加齢によって発症する白内障については、発症を止めたり、予防する完全な方法は今のところありません。ごく初期のものについては、点眼製剤により進行を遅らせることができる可能性があります。

    加齢の他にも、糖尿病やアトピー、その他様々な全身の病気や、病気の治療を目的に内服している薬剤の副作用、外傷に伴って若い年齢で白内障を発症することがあります。

    成人になってから起こる場合の他に、先天的な要因によって幼少期に発症する先天・発達白内障もあります。このような場合には全身疾患を合併している可能性や、他の眼の異常を合併している可能性があり、様々な検査を行い、早期治療の必要性を判断する必要があります。個々のケースによって状況は様々ですので、主治医の説明をよく聞いて、適切に検査・治療を受けていただく必要があります。

    白内障と、診断が紛らわしい病気はありますか?

    白内障の有無については、診断が紛らわしいということはありません。ただし、視力低下が真に白内障のせいのみなのかは、紛らわしい場合があります。

    他に眼の異常を合併している場合は、視力低下のうちどの程度が白内障のせいなのかが不明な場合もあります。また、白内障が進行しているケースでは、眼の奥の詳細な検査が困難になりますので、まず手術をして白内障を治療してみないと他の眼の疾患が判明しないことがあります。

    一度手術しても、その後白内障を再発することはあるのですか?

    濁りの原因となる水晶体を手術で取り除きますので、白内障そのものを再発することはありません。

    ただし、手術の際には水晶体の皮を残して、その中に人工の眼内レンズを入れるため、その皮に沿っての濁りが出てくることがあります(後発白内障と呼ばれます)。その場合には処置が必要ですが、手術ではなく、外来でレーザーでの治療を行うことで解決が可能です。

    白内障の手術で使われることなる、多焦点眼内レンズについて教えて下さい。

    白内障の手術の多くでは、単焦点眼内レンズといって、ピントが合う距離が1つのレンズを使用します。この種類のレンズでは、ピントの合う距離にあるものはとても綺麗に見ることができます。一方でピントの合わない距離のものは見えづらいので、ピントの合わない距離を見る際には眼鏡が必要になります。

    その一方で、多焦点眼内レンズという、ピントが2つ以上の箇所に合うレンズがあります。例えば2つのピントがある場合にその1つは遠くに合わせ、1つのピントは30-50cmなど、その人の生活スタイルにあわせて選択することになります。レンズの種類によって見え方の特性が異なりますので、自分にどのレンズがあっているかは、診察や検査を受けて判断する必要があります。これらのレンズは保険が効かないため、手術代金が高額になります。

    また多焦点眼内レンズ全てについて言えることとして、ピントが複数あるので、ある程度の見え方を得られる距離が多いものの、ピントが合っている所の見え方では、単焦点眼内レンズに及ばないという欠点があります。また、多焦点眼内レンズの機能を十分に発揮するためには精密な眼の調整を必要としますが、白内障手術だけではそれが不可能な場合があり、手術の後にレーシックや眼内レンズの追加挿入を行う必要が出ることもあります。

    多焦点レンズは様々なレンズがあり、各々に見え方の良い点や悪い点が異なります。高額なレンズや新しいレンズほど高機能で自分に合うとは限りませんので、使用するレンズの特徴について十分に説明を受け、自分に合っているかどうか、手術の後に微調整のための追加手術が必要になった場合でも対応できるか、などをよく考えた上で判断する必要があるかと思われます。