てんとうてんかん
点頭てんかん
赤ちゃんに起こりやすく、結節性硬化症などの病気が原因で起こることが多いてんかん
14人の医師がチェック 93回の改訂 最終更新: 2022.02.28

点頭てんかんの基礎知識

POINT 点頭てんかんとは

乳幼児にみられるてんかん症候群の一つであり、West症候群とも呼ばれる病気です。スパズム(首・体幹・手足の筋肉が短時間ぴくつくような動きが短時間みられること)が特徴な症状として知られています。この発作は眠っている時や起きた直後に起きやすいです。診断を確定するために、脳波検査・筋電図検査などが行われます。一般的に治療は抗てんかん薬を中心に開始します。効果がなければACTH療法(筋肉注射)に切り替えます。ACTH療法は効果的な治療で60-80%の確率で発作が消えます。首・体幹・手足の短時間のぴくつきが短い間隔で何度も起こるという特徴的な症状がお子さんに出た場合は小児科や脳神経内科で相談してくてださい。

点頭てんかんについて

  • 乳幼児にみられるてんかん症候群の一つであり、West症候群と呼ばれることもある
    • スパズムという特徴的な動きがみられる
    • 発達の停滞や退行がみられる
    • 脳波上特徴的な所見(ヒプスアリスミア)がみられる
  • 約8割で何らかの基礎疾患があると言われている
    • 結節性硬化症
    • 脳奇形
    • 代謝疾患
    • 染色体異常
    • 新生児頭蓋内出血
    • 低酸素生虚血性脳症
    • 脳腫瘍
    • 中枢神経感染症
    • 頭部外傷   など
  • 生後3-12か月頃の発症が多い
  • 小児1万人あたり、約1.5-2人の頻度でみられる

点頭てんかんの症状

  • スパズム:首や体幹・手足の筋肉のぴくつくような動きが短時間起こる(2秒以内)
    • 典型的には両腕をあげて、首を曲げる(「点頭てんかん」という言葉の由来)
    • 程度が軽いと体の一部のぴくつきや白目をむくだけのこともある
    • 一回のスパズムを短い間隔で何度も繰り返す(20-40回):シリーズ形成
    • 一日に1-10シリーズ程度反復する
  • 発作は眠っている時や起きた直後に起きやすい
  • 発達の停滞や退行
    • 運動面の退行
    • 不機嫌
    • 周囲に関心を示さない
  • 治療後も正常発達がみられるのは10%にとどまる
  • 50-60%で難治性てんかんが残存する
    • 15-20%でLennox-Gastaut症候群へ移行する
    • 精神運動発達遅滞を伴う難治性てんかん(強直型のてんかんが多い)

点頭てんかんの検査・診断

  • 脳波検査発作と同時に脳波を確認することが最も重要
    • 発作が起きていない時にヒプスアリスミアが見られる
    • 発作が起きると発作の波(棘波)が出る
  • 筋電図検査:脳波と同時に発作時の波を確認する
  • 必要に応じて頭部MRI検査や血液検査などを行う

点頭てんかんの治療法

  • てんかん薬やビタミンB6から開始し、効果がなければ早期にACTH療法に切り替えるのが一般的
  • てんかん薬の飲み薬
    • バルプロ酸、ゾニサミド、クロナゼパム、ニトラゼパム、クロバザムなど
  • ビタミンB6の大量投与(飲み薬)
    • 約1-2週間で効果がでることが多いが、発作が消える確率は約10%
    • 嘔吐、下痢、肝機能障害などの副作用がある
  • ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)療法(筋肉注射)
    • 最も効果的な治療(発作が消える確率は60-80%)
    • 連日2週間の注射から徐々に減量していく方法が一般的
    • 不機嫌、体重増加、感染、脳退縮などの副作用がある

点頭てんかんに関連する治療薬

ビガバトリン(抗てんかん薬)

  • 脳内の抑制性神経伝達物質であるGABA(γーアミノ酪酸)の濃度を高めることで、てんかん(主に点頭てんかん)発作を抑える薬
    • てんかんは脳内神経の過度な興奮などによりおこるとされ、てんかんの中でも点頭てんかん(West症候群)は小児期の難治性てんかんの一つ
    • 脳内でGABAは抑制性の神経伝達物質となるが、GABA-Tという酵素によって分解される
    • 本剤はGABA-Tを阻害することで、脳内のGABA濃度を増加させる作用をあらわす
  • 本剤は点頭てんかんの特徴であるスパズムの減少、ヒプスアリスミアの消失・改善などの効果が期待できる薬剤
ビガバトリン(抗てんかん薬)についてもっと詳しく

点頭てんかんが含まれる病気

点頭てんかんのタグ

点頭てんかんに関わるからだの部位