◆女性型脱毛症の治療は?
ここで紹介する研究は、過去の研究報告を集める方法で、女性のAGAにあたる女性型脱毛症(FPHL)に対する治療はこれまでにどんなものが研究され、どんな効果が得られているかをまとめたものです。
研究班は、関係する研究報告を検索して集め、結果をまとめました。
◆ミノキシジルに効果あり、フィナステリドは不明
次の結果が得られました。
6件の研究から統合したデータが示すところでは、ミノキシジル(2%および1件の研究では1%)で治療された患者のほうが、頭髪の再生育の中等度から高度の増加を報告する割合(593人中157人)が偽薬に比べて(555人中77人)大きかった(リスク比1.93、95%信頼区間1.51-2.47、中等度の質のエビデンス)。
1日2回ミノキシジル2%の群で407人中40人に有害事象があり、対して偽薬群では320人中28人だった(リスク比1.24、95%信頼区間0.82-1.87、低い質のエビデンス)。
治療薬のミノキシジルにより、髪が再び生えてくる効果が見られました。副作用が出るという明らかな結果はありませんでした。
フィナステリド1mgを調べた3件の研究では、偽薬に比べて改善が見られず、うち1件の研究で、副作用の可能性がある症状の悪化などが偽薬と差がなかったという結果でした。
日本で女性AGAに使われている薬には、1%ミノキシジル(商品名:リアップなど)があります。フィナステリド(商品名:プロペシアなど)は女性には普通使いません。
髪の変化は死ぬ病気ではないのでともすれば軽く見られてしまいますが、生活を大きく変えてしまいます。治療薬の効果が検証され、最適なものを選べるようになることで、脱毛に困っている女性が助かることにもつながります。
執筆者
Interventions for female pattern hair loss.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 May 26.
[PMID: 27225981]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。